【三つ巴の女王争い】元プロキャディが考える、今年一番活躍した女子プロは誰?

今年のプロゴルフツアーは、いよいよ最終局面に入りました。女子ツアーは、まさに最終戦目前! メルセデスポイントによる最優秀選手をめぐる戦いがついに終結します。ということで今回は、ランキング争いの現在の状況を整理しつつ、私が考える「今年最も活躍した選手は誰か?」について書いていきたいと思います。

山下美夢有プロGetty Iages

◆【女王争い】現在の状況は?

今週開催される女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は、ランキング上位の選手しか出場できないため、来季のシード権をかけた戦いは先週開催された「大王製紙エリエールレディスオープン」で終了し、15人ものプロがシード権を失いました。そして、最終戦。今年最も活躍したプロに贈られる年間最優秀選手賞、つまりメルセデスポイントを最も多く獲得した選手の称号である「女王」が決まります。

昨年の女王争いは、山下美夢有プロが最終戦を待たずして史上最年少の女王戴冠を決めましたが、今年は最終戦までもつれ込む形になっています。可能性が残されているのは、昨年の女王・山下美夢有プロ、ベテランの申ジエプロ、そして双子姉妹で活躍中の岩井姉妹の姉・岩井明愛プロの3人。現在1位の山下プロと3位の岩井プロのポイント差は、約100ポイント。最終戦のリコーカップは、優勝すれば400ポイントという大きな大会で予選落ちも無いため、最終日までどうなるかわからないといった状況です。

◆おだみなが考える、「今年最も活躍した選手」は誰?

今年最も活躍した選手を考えるにあたって、重要になってくるのはメルセデス・ランキングと年間勝利数です。
メルセデス・ランキングは、大会の賞金額の大小に影響されない総合的な活躍度を評価するために、2012年に創設されました。順位をポイント(メルセデスポイント)に換算し、そのポイントを加算していくことによってランキングが決まります。従来の賞金ランキングによるものだった来季シード権についても、昨年からメルセデス・ランキングによるものになりました。

賞金総額、及び優勝賞金は、大会によって大きく違います。今年の優勝賞金で例を挙げれば、1080万円から最高で5400万円。その差はなんと、4000万円以上! 悪天候などで協議が短縮されれば、獲得賞金はそれに応じて減額されるため、賞金の小さい大会が減額になればその差はますます大きくなってしまいます。つまり、大会によって、賞金ランキングへの影響が大きく違ってしまうことになります。
その点メルセデス・ランキングはというと、3日間大会、4日間大会、公式戦、USメジャー大会の順にポイントは大きくなりますが、競技が悪天候などで短縮されてもポイントは変わらず、賞金の大小にも左右されません。

メルセデス・ランキングと賞金ランキング、そして1年間の優勝回数を並べてみると、メルセデス・ランキングと賞金ランキングでは様相が違うことがわかりますね。そして、勝利数がそのままランキングに直結していないこともわかります。

今年、複数回優勝をしている選手は、ランキングに載っている選手の他に菅沼菜々プロ(2勝)、神谷そらプロ(2勝)、青木瀬令奈プロ(2勝)、穴井詩プロ(2勝)がいますが、常に上位にいることも然ることながら、1年間に複数回優勝することはかなり難しいことだと思います。そして、「年間4勝」と言えば、本来なら女王を獲得してもおかしくない勝利数です。現在トップの山下プロと同じく4勝を挙げている櫻井心那プロの活躍は、既に女王には手が届かない位置ではありますが、計り知れないものがあります。

櫻井心那プロ Getty Images

さて、間もなく最終戦。今年の栄冠は誰の手に⁉ 最後まで、注目していきたいと思います。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

おすすめの関連記事