【11年231日ぶりのV】を逃すも、藤本麻子プロが得たものとは?【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

国内女子ツアー第18戦「資生堂 レディスオープン」では、19歳の櫻井心那プロがプレーオフの末、ツアー初優勝を飾りました。その陰で敗れたのが33歳の藤本麻子プロです。11年伊藤園レディス以来、実にツアー新記録となる11年231日ぶりの優勝を逃しましたが、そのハツラツとしたアグレッシブなプレーぶりにギャラリーも大きな声援を送っていました。この試合をきっかけに、ぜひ近いうちに新記録を達成してほしいですね。

◆3日目を首位タイでフィニッシュ

藤本麻子プロといえば、アマチュア時代には4年間ナショナルチームに在籍し、日本女子アマを制するなど、トップアマとして活躍していました。国内外のツアー競技にも積極的に出場し、ローアマチュアに輝いた実績は20試合近くあります。高校を卒業後すぐにプロテストに合格すると、その翌年の10年には賞金ランキング27位となり、初シードを獲得。そして11年の伊藤園レディスで見事ツアー初優勝を飾るなど、順風満帆なゴルフ人生を送っていました。

当然、周囲からの期待も大きく、日本を代表するプレーヤーになると誰もが予想していましたが、なかなかツアー2勝目を飾ることができなかったのです。もちろん、その後は何度も優勝争いを経験しています。なにしろ、10年から18年まで9年間も賞金シードを守っていたわけですからね。シード権を手放してもファイナルQTで上位に入り、トーナメントには出場していました。ただ、昨年はさすがにピンチだったかもしれません。ツアー25試合に出場して19試合で予選落ちを喫したからです。

それでもなんとかファイナルQTで12位となりましたが、前半戦は思うような成績を残せず、第1回リランキングでは40位に落ちてしまいました。そんな状況で巡ってきたのが、資生堂 レディスオープンでの優勝争いです。「ショットの調子が良かったうえに、キャディさんにパットのラインをしっかり読んでもらえたことでスコアを伸ばすことができました」と語るように、2日目を終えた時点で3位タイにまで順位を上げると、3日目にはついに首位タイに並びました。

藤本プロが優勝したら、実に11年231日ぶりとなり、昨年、金田久美子プロが樋口久子三菱電機レディスで樹立した11年210日を抜き、ブランク優勝としてツアー記録を塗り替える状況でした。聞けば、そのことについて金田プロとは会話をすでにしており、「麻子なら記録を塗り替えていいよって言ってもらえているので、遠慮なく行きたいと思います」と語っていました。

◆自分らしいゴルフができたのは自信になる

いよいよ迎えた最終日、藤本プロを応援するギャラリーは少なくありませんでした。11年231日ぶり――言葉にすると一瞬ですが、約12年です。干支が一周する間、ずっとツアープロとして戦い続け、勝つことを目標に戦ってきました。その時間がどれだけ重かったのか、理解できるのは金田プロぐらいでしょう。どんなに練習してもあと一歩勝利まで届かない。近年は若い世代が次から次へと台頭し、まぶしいぐらいの輝きを見せながら楽しそうにラウンドする姿が目に入る。時には心が挫けそうな時もあったことでしょう。でも、いつかは勝利に届くはずだと信じてトレーニングや練習を続けてきた。そんな藤本プロの努力を想像できるからこそ、ギャラリーも応援したかったんだと思います。

残念ながら、最終日の藤本プロはスコアを伸ばすことができず、11位タイという結果に終わりました。「気持ちは負けていませんでしたが、ショットの調整が上手くいかず、バーディチャンスにつく回数が少なかったですね。今日は久々に楽しむことを目標にしていましたが、その状態までこれてよかったと思います」。たとえスコアを伸ばせなくても、前を向き続けて戦い抜いた藤本プロ。「3日目の後半に5バーディを奪って巻き返せたように、自分らしいゴルフができたのはものすごく自信になったし、まだまだやれるなと思いましたが、もう一方で課題をものにしなきゃという気持にもなりました」。

ブランク優勝の記録更新は達成できませんでしたが、本来の攻撃的なゴルフを思い出し、今まで以上の戦闘意欲を取り戻したことは大きな収穫です。現在33歳の藤本プロですが、気持ちさえ前向きなら記録更新のチャンスはすぐに訪れるでしょう。

取材・文/山西英希

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