国内女子ツアー第6戦、富士フイルム・スタジオアリス女子オープンでは、山下美夢有プロが今季初優勝を飾りました。今季の賞金ランキングでも1位に躍り出ましたが、メルセデスランキングでは2位。メルセデス・ランキング1位に君臨しているのは、ささきしょうこプロです。でも、ささきしょうこプロは今季未勝利です。未勝利なのに1位ってどうしてなのでしょうか。それに、そもそもメルセデスランキングって何？
今回もゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます！ これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる！ 楽しくなるはずです♪
◆メルセデスランキング2位から6位は今季優勝者！
2022年から、国内女子ツアーは年間シードがメルセデスランキング50位以内の選手にレギュレーション変更となりました。これに伴い、年間女王になるのは、賞金ランキング1位の選手ではなく、メルセデスランキング1位の選手となったのです。その初代年間女王となったののが、4月7日～4月9日で開催されたに開催された富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで今季初優勝を飾った山下美夢有プロです。
山下プロは、同大会のジュニアカップで2回も優勝を飾っています。その際に小林浩美プロ、樋口久子プロと一緒に撮影した記念写真はいい思い出になっているとのこと。大会では、ギャラリーサービスとしてチャリティフォトを今でも行っていますが、山下プロは、長い時間並んだ経験もあるそうです。まさに、ツアーの中でもっとも馴染み深い大会で優勝しただけに、感激もひとしおでしょう。
そんな山下プロですが、今回の優勝で今季の獲得賞金額が2667万円となり、賞金ランキング1位に躍り出ました。ところが、肝心のメルセデスランキングでは462・4ポイントで2位に留まっています。でも、ここで一つ気になることが。同ランキングの2位から6位までの選手は、今シーズンの試合で、皆優勝している選手ばかりなんです。一方、現在1位で474ポイントのささきしょうこプロは、今季未勝利。では、一体なぜこのような逆転現象が起きているのでしょうか。その答えの前に、まずはメルセデスランキングについてご説明しましょう。
◆上位入賞が難しい大会ほどポイントが高い
日本女子プロゴルフ協会のサイトによれば、「JLPGAツアーの各競技及びUSLPGAメジャー競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング」とあります。賞金ランキングだと、大会によって賞金総額の差があるため、同じ優勝でも差が出てしまいますが、ポイント制にすることでその不公平さをなくそうとしたわけです。
さらに、3日間大会よりも4日間大会、4日間大会よりも国内公式戦、国内公式戦よりもUSメジャーのポイントが大きいシステムにしました。優勝する難易度が上がる分、それに見合ったポイント数にしたわけです。ちなみに、1位のポイント数は3日間大会が200ポイント、4日間大会が300ポイント、国内公式戦が400ポイント、USメジャーが800ポイントになっています。
山下プロが優勝した富士フイルム・スタジオアリス女子オープンは3日間大会(雨天のため1日に中止になりましたが、満額ポイントを付与)だったので、200ポイントとなります。
先ほどの話に戻りますが、未勝利のささきプロは今季4日間大会で2度の2位があります。そこで得たポイントだけでも180ポイント×2なので、360ポイント獲得しているのです。さらに4日間大会で5位のポイント90ポイントを加えると450ポイント。3日間大会の16位タイで得た24ポイントを足して474ポイントになります。山下プロは全試合で予選通過しているものの、優勝した試合が3日間大会なので、ポイントが大きく伸びなかったようです。
とはいえ、今季はまだまだ4日間大会が残っていますし、国内公式戦、USメジャーは1試合も開催されていません。ということは、現在中位〜下位に位置しているプロであっても、虎視眈々と上位が狙えるわけです。場合によっては一発逆転、下剋上もあることでしょう。まさに年間女王を決めるのにふさわしい仕組みですよね。メルセデスランキングを理解していると、よりプロのすごさ、試合観戦が楽しくまりますよ。
◆山西英希／プロフィール
スポーツライター。ゴルフを中心に幅広く取材、執筆。
