7年間の獲得賞金額の2倍以上を1試合で稼いだ照山亜寿美プロ【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

国内女子ツアー第4戦、アクサレディスゴルフトーナメントで3位タイに入ったのが、照山亜寿美プロです。2016年にプロ転向し、昨年までの7年間で獲得したツアーの賞金額は220万円でした。ただ、今試合で3位に入ったことにより、その賞金額の2倍以上となる510万円をゲット。しかもベストスコア賞の100万円も上乗せすると610万円をわずか3日間で稼いだことになります。

画像/Getty Images

QTランキング【181位】から優勝した山内日菜子プロ。どのくらいすごいの?【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

◆28歳照山亜寿美プロ。今までの生涯獲得賞金は220万円

現在、28歳の照山亜寿美プロは、22歳の誕生日を迎える直前にプロ転向しました。今から7年前のことです。以来、レギュラーツアーには22試合出場してきましたが、予選を通過したのはわずか4回しかありませんでした。しかも、最高順位はデビュー戦となった16年富士通レディースでの23位タイです。当然、これまでの生涯獲得賞金額は低く、220万円でした。

そんな照山プロですが、今年はQTランキング34位の資格で、前半戦はほぼ全試合に出場できるとのこと。年齢を考えれば、ある意味今年が大きなヤマ場だと言えます。これまでのように出場しても予選通過できない状態から何とか脱出したいシーズンだったのです。

ところが、開幕戦から3試合連続で予選落ち。このままではいけないと思うところの4戦目・アクサレディスゴルフトーナメントで3位タイに入り、510万円を獲得したのです。

「今回は結構自信がありました。パッティングの調子が良かったので、強気にカップを狙いにいっても大丈夫と思えたからです」

大丈夫というのは、たとえファーストパットで2メートルほどオーバーしても返しのパットを入れられる自信があったという意味です。確かに初日こそ3パットが2回ありましたが、2日目以降は一度もありません。しかも、最終日は23パットと次々とボールをカップインさせていきました。

◆610万円で3日間を獲得。武器はトラックマンで強化したアプローチ

予選通過を決めた安心感もあったのでしょう。最終日は7番までにスコアを3つ伸ばします。ところが、8、9番を連続ボギーに。今までの照山プロならこのままズルズルとスコアを崩していたかもしれませ。しかし、今年の照山プロにはパット以外にも武器があったのです。

「グリーン周りのアプローチです。私にとっては弱点でしたが、昨年の春からティーチングプロの丹野宏紀コーチとトラックマンを使った練習に取り組んでいて、ようやく数字と自分の感覚が合ってきたんです」。

弾道測定器のトラックマンを使用するツアープロは多いものの、グリーン周りのアプローチといった短い距離で使うプロは少ないでしょう。ある意味画期的な使い方とも言えますが、それによってゴルフが向上したことは間違いありません。アプローチが寄る自信があることで、ショットにもグリーンを多少外しても大丈夫という安心感が生まれました。

インに入り、バーディを4つ奪ってスコアを伸ばしたのも好調なパットに加えて、アプローチに自信があったからとのこと。気がつけば、7バーディ、2ボギーの67をマーク。最終日のベストスコアとなり、賞金100万円をゲットしました。3位タイの賞金と合わせると610万円を3日間で稼いだ計算になります。まさにツアープロの醍醐味を味わった照山選手。しかも、メルセデスランキングでも65ポイントを獲得し、第1回リランキングへ向けてもいい流れを作りました。今季の彼女がどこまで獲得賞金額を加算していくのか、大いに楽しみなところです。

◆山西英希/プロフィール

スポーツライター。ゴルフを中心に幅広く取材、執筆。

おすすめの関連記事