フワッとボールを上げたいときほど大きくゆっくりと振ろう!

ツアーでもトップクラスの飛距離を誇る渡邉彩香プロですが、最近はショートゲームの精度も上がっています。そこで、アベレージゴルファーでも対応できる状況別の寄せテクを紹介してもらいましょう。

第8回はバンカー越えのアプローチでピンに寄せたいときについて説明します。

渡邉彩香プロ

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素朴な疑問1:バンカー越えのアプローチは寄せることを考えてはいけないの?

私はこうしてます!1:ここ一番のときは寄せることを第一に考えます!

前回、バンカー越えのアプローチで一番大切なのは、確実にバンカーを越える球を打つことだと説明しました。そのためには多少ピンをオーバーしても仕方ありません。なぜなら、バンカーにつかまって、次打をバンカーから打つよりも、グリーン上からパターで転がしたほうがピンに寄る確率が高いからです。

ただ、どうしても寄せワンを獲りたいときはその限りではありません。たとえば、最終ホールでバンカー越えのアプローチをピンに寄せて、1パットで沈めるホールアウトできたらベストスコアとか、100を切れるといった場面を迎えたときです。ピンが手前のグリーンエッジから近いところに立っていても、あえてピンに寄せることを考えましょう。実際、私もスコアを1打でも落としたくないときは、果敢にピンに寄せにいきます。

ピンがエッジから近いときに考えるのは、ボールのランを抑えることです。フワッと高く上げ、グリーンに着地したらそのまま止まるぐらいの弾道をイメージしましょう。スピンでボールを止めるのではなく、高いところから落とすことで止めるイメージです。

ボールを高くフワッと上げることができれば、バンカー越えのアプローチで、ピンが手前にあるときでも寄せワンのチャンスは十分あります

素朴な疑問2:ボールをフワッと打つにはどうすればいい?

私はこうしてます!2:ハンドレートに構え、大きくゆっくり振りましょう!

ボールをフワッと上げたいときは、クラブフェースを開きます。リーディングエッジと呼ばれるフェース面の最下部を時計の2時ぐらいまで開きましょう。感覚的にはフェース面がほぼ真上を向いているような感じになります。同時に、左足を半足分ほど下げてオープンスタンスに構えてください。ボールの位置はスタンスの中央よりも1個分左にセットします。

本当はさらに左にボールを置きたいところですが、一つ間違えるとクラブヘッドがボールの下を潜り抜けてしまいます。距離がほとんど出ず、バンカーにつかまるので、そのリスクを避けるために、ボールはスタンスの中央よりも1個分左にしておきましょう。

両手の位置はスタンスの中央になります。したがって、ボールの方が両手よりも目標に近づいた形になります。これをハンドレートと言いますが、ボールをフワッと上げる打ち方をするには大切なポイントです。

手首のコックを使いながら、体の回転でクラブをアウトサイドに上げます。オープンスタンスの向きに沿ってクラブを上げるイメージです。右肩の高さぐらいまでクラブを上げたら、体の軸を中心に上体を回転することでクラブを元の位置に戻します。このとき、頭の位置をなるべく変えないことです。上体が目標方向に突っ込んでしまうとトップやダフリなどのミスが出ます。

また、インパクトゾーンでフェースを返す動きは一切しないこと。ボールをとらえたら、フェース面の向きを変えずに、フィニッシュまで体を回転し続けましょう。

注意点はとにかくゆっくりと大きく振ることです。スイングアークが大きくても、フェースを開いている分、高く上がるだけで距離は出ません。安心して大きく振りましょう。ボールが飛ばないと思うと、ついスイングリズムを速くしがちですが、それも禁物です。ゆっくりと振るからこそ、ボールもゆっくりと飛んでいくことを意識しましょう。

ボールはスタンスの真ん中よりも1個分左。両手はスタンスの真ん中なので、ハンドレートの構えになります。(※写真ではやや右に見えていますが、左に置いてくださいね!)

手首のコックを使いながら、体の回転でクラブをアウトサイドに上げます

インパクトゾーンではフェースを返さず、フェース面の向きをキープしましょう

フォローで止まらず、フィニッシュまで体を回しましょう

◆教えてくれたのは…渡邉彩香プロ

わたなべ・あやか/93年生まれ、静岡県出身。初優勝は14年。15年は飛距離を武器に年間2勝。その後、シード落ちを喫したが、2021年は見事シード復活を果たし、賞金ランキング14位で20-21シーズンをフィニッシュ

撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力 凾南ゴルフ倶楽部

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