ゴルフも日常もうまくいく!“Good”、“Better”、“How”の考え方って?【ヨッシー小山直伝・メンタルコントロール術】

Regina-webユーザーの皆さま、はじめまして。“ヨッシー”こと、小山佳恵です。USLPGA(全米女子プロゴルフ協会) CLASS Aのメンバーであり、ツアープロのメンタルコーチとしても活動しています。日本のツアーで活躍中の選手のメンタルコーチを務めながら、アマチュアのみなさんには、技術的なことだけでなく、メンタルも含めたレッスンを行っています。

これから女性ゴルファーの皆さんが、ゴルフをより楽しみながら上達し、素敵な毎日を過ごすためのヒントをお伝えしていきたいと思います。ぜひコラムを読んでくださいね。

◆そもそも、ゴルフにおいて“メンタル”はなぜ重要?

ゴルフは、止まっているボールを、何打でカップに入れられるかを競うスポーツです。プレーに臨む際のメンタルはどんなスポーツでも重要ですが、飛んできたボールや相手に反応するのではなく、自ら動いてボールに向かうゴルフでは、メンタルはとても大きい割合を占めています。

ボールのライ、温度や湿度、風などの天候、落下地点の状況、プレーヤー自身の状態など、あらゆるものを瞬時に判断してクラブを選択し、構えて打つ。心の持ちようによって、力が入りすぎたり、とっさに力が抜けてしまったりすることもあれば、突発的な音や声などの邪魔が入ることもあります。そんなとき、どう対処するのか。日頃から自分自身と向き合い、十分な準備をしておくことが必要になるのです。

◆トッププロも影響を受けた“メンタルコントロール” の極意をお伝えしていきます!

私は、USLPGAの資格を取得するにあたって、ゴルフの技術だけを磨き、それを伝えていけばいいと考えていました。もちろん、ゴルフが上手になること、ゴルフ理論を知ることは必要ですが、それだけではなかったことにとても驚きました。米国在住の頃に一念発起してティーチングプロとなることを決意し、USLPGAの資格に向き合っているうちに、『心・技・体』すべてについて勉強し、伝えていくことが大切だということがわかったのです。

中でも重要だと感じたのは、メンタルのコントロール。晴れてUSLPGAのメンバーになると、定期的に行われるカリキュラムでは、メンタルに関するセミナーがかなりの割合で行われてることを知りました。受講してみるととても面白く、メンタルコントロールに興味を持つきっかけになったのです。

USLPGAのカリキュラムだけでなく、世界ゴルフ殿堂入りを果たしたアニカ・ソレンスタム選手や、宮里藍選手なども学んだ『ビジョン54』という考え方も勉強し、大きな影響を受けました。これまでに私が学び、プロアマ問わず多くのゴルファーに伝えてきたことの一部を、生かしていただければと思っています。

◆ゴルフも日常も好転する“Good”、“Better”、“How”の考え方

今回お伝えするのは、“Good”、“Better”、“How” という考え方です。タイトルをご覧になって「はて?」と首をかしげてる方も多いかもしれません。

これを習慣にすると、ゴルフに限らず日常生活にも大きな変化が起きるので、ぜひ、やってみてください。

【1】Goodを探す

18ホールプレーした後、その日のプレーを振り返って反省する方は多いと思います。熱心なゴルファーは特にそうでしょう。ミスショットを反省し、原因を探って対策を練る……これが一般的なのではないでしょうか。

それだけではなく、まずはその日の“Good“を探してください。うまくできたこと、良かったこと、楽しかったことなどです。

「5番のティーショットが素晴らしく飛んだ」、「16番の難しいパーパットを入れることができた」というようなプレーのことだけでなく、もっと簡単なことでもいいのです。「初めて一緒にプレーした〇〇さんと仲良くなることができた」とか「新しいシューズでテンションが上がった」でも十分。「最高の天気の中でプレーを楽しめた」、「OBになりそうだったショットが気に当たってセーフだった」、「△△さんは思っていたよりいい人なことがわかった」、「13番の奥でカワイイ鹿を見かけた」、「途中で見えた富士山が素晴らしかった」などなど、プレーそのものと関係ないことも、できる限りたくさん、よかったことを書き出してみましょう

【2】次にBetterを挙げる

“Good”がたくさん挙げられたら、次は”Better“です。

「こうなったらもっとよかった」というのを振り返りましょう。「ない」とか「〇〇してしまった」のようなネガティブワード、マイナスワードはできるだけなくして、「〇〇すればよかった」のような軽い感じで考えてみましょう。

「あの林から上手に出せたらよかったなぁ(A)」、「あのショットが右のバンカーに入らなけれよかったなぁ(B)」、「朝ギリギリの到着でバタつかなければなぁ(C)」、「〇〇さんのナイスショットを素直に喜んであげられてたらなぁ(D)」、「ショットがもっと安定してたらなぁ(E)」。こんな風に。

【2】最後に、Betterに呼応するHowを考える

最後に、“Better”に呼応するように”How”を考えます。「どうすればいいのか」をできるだけ具体的に思い浮かべてください

(A)に対しては「1打ペナルティを払っても出すだけにする安全策を取る」。

(B)には「アライメントをしっかり確認して左を向いてから打つ」。

(C)には「あと30分早起きする」もう少し踏み込めば「前日に飲みすぎない」とか「準備を先にしておく」というところまでいきます。

(D)なら「照れずに気持ちを伝える」なのか「自分だっていいプレーに拍手してもらったらうれしい」を付け足すか、でしょうか。

(E)は少し、“Better”の部分が抽象的過ぎるようです。もっと具体的に考えたほうが”How”につながりやすいはずです。「アイアンショットが左に引っ掛けてばかりだった」とか「ドライバーが当たらなかった」のようになれば、練習方法も含めた”How”が具体的に出てくるでしょう。

◆今日からはじめて、自己肯定感UP!日常に繋がる “Good”、“Better”、“How”

謙遜する文化が根強い日本の方は、”Good“を挙げるのが苦手な傾向にあるようです。子供たちも、トッププロも、最初は「え~、何も浮かばない」と言うケースが多いのです。どんな小さなことでもいいですよ、とお話しすると、やっと1つか2つひねり出すといった具合です。でも、慣れてくるとどんどん、挙げられるようになってきます。 

“Good”、“Better”、“How” の順番は決して入れ替えず、まずはよかったことから。これはとても大切なことです。まず、自分を認める。自分と向き合う時に否定から入るのではなく、自分を肯定する。次に「悪かったこと」ではなく「よくなる可能性のあること」を考える。最後に、対策です。

個人的なことですが、USLPGAの資格に挑んでいた頃、私は2人の子育て真っ最中でした。その時期に “Good”、“Better”、“How” など、様々なメンタルコントロールについて学んだことは、子育てにもとても役に立ちました。みなさんも、ゴルフをするときだけでなく、今日から、やってみてください。日記のような感覚でいいのです。慣れてくると自己肯定感が上がって毎日が明るくなり、心が落ち着きますよ。先々への見通しや、様々なことへの対処法も、見えてくるかもしれません。

メンタルトレーニングと言うと難しく考えてしまいがちですが、まずは第一歩、踏み出してみてください。ヨッシーでした!

小山佳恵プロ/USLPGA ClassA メンバー、ツアープロメンタルコーチ。2016・2017USLPGA国際部門ジュニアリーダーオブザイヤー、2018年USLPGA国際部門ティーチャーオブザイヤー、2020年米ゴルフダイジェスト誌 世界のベストティーチャーズを獲得。公式ブログ(https://ameblo.jp/yossy444golf/) 

取材・文/小川淳子

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