『ダサい自分』で終わりたくなかった。金田久美子プロインタビュー【後編】

昨秋、「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」にて、ツアー2勝目を飾った“キンクミ”こと、金田久美子プロ。今シーズンに向け、地元・名古屋で調整中の彼女に、改めて復活優勝時の話を聞くことができました。

前編→昨シーズン11年ぶりの優勝!金田久美子プロの素顔インタビュー【前編】

◆自分が納得できるまで。まだまだ諦めずに頑張りたい

「やっぱり、このまま終わりたくない。ダサいままで終わるのは嫌、っていう気持ちですね」

金田プロの考える〝ダサい〟とは、成績が出ないプロだという。

「成績っていうのは優勝もそうですけど、最低でもシードは取らなきゃプロゴルファーとは言えないんじゃないかと。もちろん、年を重ねると現実は違うとわかるんですが、若い頃の私は生意気だったんで、シードも取れず上位争いもしない選手を、〝ただ試合に出てるだけじゃん〟と思っていました。でもいざ、自分がその状態になってみて初めてわかった。一生懸命やっていても、それが結果に出ないことってあるんだと。まぁ、私の場合はそこに、〝見た目がチャラチャラしてるからだろう〟が加わるんですが(苦笑)」

◆見た目に気を使うことがモチベーションにもなる

〝プロゴルファーらしからぬ〟ヘアメイクとファッションは、成績が落ちれば即座に批判の対象となる。

「私の生活の8割はゴルフ。成績が上がらないとプライベートも楽しくないし、何もやる気が起きません。メンタルにも深く影響します。でも、見た目に気を使うことと成績は、別かなって。〝好きな自分〟でいられない方が、よっぽどストレスが溜まります。私は元々ファッションも美容も好きなので、自分のモチベーションを上げるためにも、そこはちゃんと気を使いたいんです」

今の女子プロゴルフ界が盛り上がっている理由として、よく挙げられるのがその〝華やかさ〟。強くて可愛い、はもはや当たり前になった。

「今のプロは、みんな可愛くておしゃれ。若手の原英莉花ちゃんなんて、あれだけ強くて可愛くてスタイルも良くて。華やかなルックスに成績が伴っているから、人気がある。私もそこについていきたい(笑)」

◆素の自分でいられる地元・名古屋

今オフは地元、名古屋で調整を重ねる。プロになって15年。名古屋に留まる理由は、「自分が最もリラックスできる場所」だから。

「道も混まないし、駐車場代もそんな高くないし、ひとつのところにぎゅっと集まっているから、便利だし。めっちゃ田舎でもなくて、めっちゃ都会でもないところが、なんか、私にはちょうどいいんです」

地元は、〝プロゴルファー・金田久美子〟でなく、ひとりの33歳の女性としていられる場所でもある。

「中学時代からの友人の存在も大きいですね。一緒にいるときはゴルフの話は一切しないから、すごくラク。彼女たちは、私のいいときどころか、逆に悪いときも知らない。そういう存在って、この年になるとすごく貴重じゃないですか。みんな、私のゴルフの成績なんて別にそんなに興味ないんです。普通に試合中に着信が入っていたりしますから(笑)。もちろん、今回は祝勝会をしてくれたけど、最後はただの〝いつもの集まり〟。でもそういう感じが心地いいんです」

◆ちなみに優勝後、自分へのご褒美に何か買った?

「DELVAUXのバッグ! バッグは3年ほど前から欲しかったけど、高いしどうしよう…って悩んでて。でも優勝したことで、〝よし、買える!〟と、思い切りました。今いちばんのお気に入りです」

 取材後、大事そうにバッグを抱えて帰る後ろ姿が何だか可愛かった。2023年も〝キンクミ〟から目が離せそうにない。

◆優勝のご褒美に購入したDELVAUXのバッグ

◆金田久美子プロ/プロフィール

かねだ・くみこ/1989年生まれ、愛知県出身。身長166cm。父の影響で3歳でゴルフを始め、小学3年生で世界ジュニア優勝。“天才少女”と呼ばれ、中学、高校でも数々の大会で勝利を重ねる。2008年、プロ入り。3年後の2011年、「フジサンケイレディスクラシック」で初優勝。2014年にはシード落ちも経験。が、2022年10月、「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」にて、ツアー2勝目を飾る。

Regina2023年春号より転載 撮影/長谷川直紀 エディター/一寸木芳枝 取材協力/Restaurant Kamikura

おすすめの関連記事