昨シーズン11年ぶりの優勝!金田久美子プロの素顔に迫る【前編】

昨秋、「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」にて、ツアー2勝目を飾った“キンクミ”こと、金田久美子プロ。今シーズンに向け、地元・名古屋で調整中の彼女に、改めて復活優勝時の話を聞くことができました。

◆「勇気をもらった」という仲間たちからの声

会う人会う人、全員から「おめでとう」と声を掛けられる。でもその度に、勝てなかった時期を支えてくれた人たちの存在に感謝する。復活優勝を遂げたその日から、現在まで続く金田プロの毎日だ。

「とくにこの年末年始は、いろんなところでサプライズで祝勝会をしていただいて。夜は大体びっくりしてました(笑)。勝てない時期も、変わらずに信じて応援してくれていた人ばかり。みなさんの喜ぶ顔を見るのは、私にとってもうれしい」

家族、スポンサー、地元の友人、メディア、共に戦う女子プロの仲間たち。たくさんの人たちから掛けられた言葉はどれも宝物。中でも、先輩プロたちから掛けられた〝勇気をもらった〟という声は印象的だった。

「(横峯)さくらさんは、ハグしてくれたときに〝本当に勇気をもらった。ありがとう〟って言ってくれましたね。(藤田)さいきさんもすごく喜んでくれて。〝私もやる気になった〟と言っていましたが、その後、本当に優勝するとは(笑)。自分と同じように、長い間優勝から遠ざかりながらも、諦めずに戦っているプロたちに、もし何らかの刺激を与えられたとしたら、光栄です」

11年189日。勝ってから振り返れば、あっという間かもしれないが、そこに至るまでの道のりの途中、何度も心は折れかけた。

「もう勝てないかもしれない、とまで追い込まれていたのは、5〜6年前のこと。ドライバーの飛距離は140ヤード、それもチーピンしか出ない。セカンドショットもアプローチもパターも、とにかくすべてが上手くいかなくて、深刻なショット不振に陥っていました」

だが、周りはそんな状態を知る由もなく、「頑張って」、「応援してるよ」、と次々と声を掛ける。

「正直、期待されることが辛かった時期はありましたね。〝勝ってね〟と言われても、まずその舞台にさえ上がれていなかったですから」

ツアーを離れることも頭をよぎったというが、それを踏みとどまったのには理由がある。

◆金田久美子プロ/プロフィール

かねだ・くみこ/1989年生まれ、愛知県出身。身長166cm。父の影響で3歳でゴルフを始め、小学3年生で世界ジュニア優勝。“天才少女”と呼ばれ、中学、高校でも数々の大会で勝利を重ねる。2008年、プロ入り。3年後の2011年、「フジサンケイレディスクラシック」で初優勝。2014年にはシード落ちも経験。が、2022年10月、「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」にて、ツアー2勝目を飾る。

Regina2023年春号より転載 撮影/長谷川直紀 エディター/一寸木芳枝 取材協力/Restaurant Kamikura

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