古閑美保コラム 「スカートや襟なしティシャツは私が先駆けです」

こんにちは、古閑美保です。私のゴルフに対する考えやゴルフ界に言いたいこと、女性ゴルファー向けの話しなど、歯に衣着せず、感じたことをお伝えしていきたいと思います。今回はレディスウエアについてです。

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20年前、レディスウエアはほとんど無かった

プライベートでもよくゴルフに行くのですが、ひと昔前に比べると、ゴルフを楽しむ女性ゴルファーが増えましたよね。しかも、みなさん、華やかでかっこいいウエアに身を包んでいるんです。レジーナ読者の方もそうだと思いますが、それぞれウエアにはこだわりを持っているように感じます。女子プロの試合を見ていても、いろいろなブランドのウエアを着ていますが、私がデビューした頃では考えられない景色です。

私は現役の頃、メディアの方から“元祖ビジュアルクイーン”などと、今ではちょっと恥ずかしいですが、そう呼ばれていて、いろいろとおしゃれを先取ってきました。でもですね、デビューした19歳の頃、今から20年ほど前は、ゴルフウエアってレディースものはほとんどなかったのです。パーリーゲイツやブラックアンドホワイトなどごく一部のみです。プロの先輩方はアパレルメーカーのメンズやクラブメーカーのモノを着ていたと記憶しています。私も最初の頃は自分でパンツを買っていたぐらいです。大先輩によると1980年代は、普通に動きやすい婦人服や男性物のスラックスを履いていたと聞きます。時代は変わりましたよね。

今では当たり前になりましたが、スカートや襟なしのティシャツのゴルフウエアは、私が先駆け的に着ていました。ヘソにピアスをつける、いわゆる“へそぴ”や耳にでっかいピアスをつけたり、ネイルをしていたのは私が初めてだと思います。そういう年頃ですから、ゴルフをするときもおしゃれしたいじゃないですか。なにせ元祖ビジュアルクイーンですから(笑)。

襟なしティシャツは、当時波紋を呼びました。昔からゴルフは紳士淑女のスポーツといわれ、襟付きのシャツが当たり前とされています。ただ、国内女子ツアーの規定では、ゴルフウエアメーカーが作ったものであれば、襟なしでも認めると記されています。当然、私はルールに沿って着ていましたが、チクチクいってくるお堅い人もいましたよね。私以外にもスカートやティシャツを着ている人はいましたが、私が目立っていたからか、そういう的になりやすかったというのはありますよね。

視聴率10パーセントを越える人気時代を境にウエアも変わった

ALBA.net より ミニスカートでプレーをする古閑プロ

私が25、26歳の頃、2004、05年あたりから女子ツアーが凄い人気になりました。6年連続賞金女王と絶対的な女王、不動裕理さんがいて、高校生でツアー優勝を遂げた(宮里)藍ちゃんや同じ年の(横峯)さくらが活躍していて、私も力をつけていたという時代です。視聴率は10パーセントを超えるのは当たり前でしたから。ギャラリーも多い試合では1日2万人越えもありました。

ゴルフをやらない人も女子ゴルフを見る時代です。私はテレビCMに出させてもらったり、いろいろな人に顔覚えてもらいました。そういう時代になって、アディダスやプーマといったスポーツブランドだけでなく、今までゴルフウエアを作っていなかったアパレルメーカーも続々と参入しました。今、私が契約させてもらっているビームスもそうですよね。その頃から、昔では考えられたなったウエア契約をする選手も増えて、本当に華やかな世界に変わりましたよね。

ちなみに女子ゴルフ人気もあって、私はテレビのスポーツバラエティ番組だけでなく、バラエティ番組で女優さんや国民的アイドルの方たちと一緒に出演させていただく機会も増えました。それまで女子プロゴルファーがバラエティ番組に出るなんてほとんどない時代です。賞金女王を取った2008年は、12月の間に100本以上のメディア出演をさせていただきました。これは、ゴルフの師匠、清元(登子)先生のマネジメントでもありました。

清元先生は、基本的にメディア出演はダメといっていて、スポンサーさんのCM撮影とかも嫌がる人でした。その先生が賞金女王を取った後、「寝る間も惜しんでテレビやメディアに出なさい」と言ったのです。年明けの1月3日から練習が始まるので、12月の20日間で、テレビの年末特番とか出られるものはすべて出ました。その理由は、先生は昔から私を通じてゴルフを世間にもっと広めたいと言っていたのです。ゴルフをやらない人が見るテレビ番組に出ることで、ゴルフに興味を持ってもらえますからね。バラエティ番組に出る時は「あんたの好きな表現でやっていい」といって背中を押してくれました。その言葉どおり好きな表現をし続けて、今の私が出来上がりました。おかげさまでゴルフをやらない人でも私の名前を知ってくれる人は増えましたし、先生の狙いどおり、少しはゴルフ界に貢献できたかなとも思っています。

こが・みほ/1982年7月30日生まれ、熊本県出身。身長167センチ、2001年プロ転向。03年にヨネックスレディスでツアー初優勝を遂げるなど、年間2勝を挙げて賞金ランキング3位。08年には年間4勝を挙げて、賞金女王戴冠。29歳になった11年、シード権保持していたがツアー引退。ツアー通算12勝。21年からGMOインターネットグループのアンバサダーに就任

取材・文/小高拓

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