賞金王、賞金女王、そしてシード権争いとは?間もなく最終戦!

今年の国内のプロゴルフツアーは男女ともに間もなく閉幕。女子は11月25日から開催されるLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ、男子は12月2日から開催されるゴルフ日本シリーズJTカップが最後の大会になります。どちらの大会も、ランキング上位30名ほどしか出場しないため、来季の出場権、つまりシード権をかけた争いはその前週の大会で決着がつきます。

というわけで今回は、今更聞けないシード権争いと、賞金王、女王争いについてです。

2019年の賞金女王・鈴木愛プロ/Getty Images

◆賞金王、シード権…数年でさまざまな規定変更が

シード権争いと、賞金王、女王争いはここ数年でとてもわかりにくくなっています。その要因としてまず挙げられるのは、その規定が様々な形で変更されているということです。海外の大会で得た賞金の加算方法や、ランキングが何位までかの変更、ポイント制への移行など、ここ数年で様々な変更がありました。

例えば、国内男子ツアーの場合。一般社団法人日本ゴルフツアー機構(以下、JGTO。)の規定によると、シード権、賞金王は共に、海外メジャー(マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロ)の獲得賞金額を含む賞金ランキングによって決まることになっています。ちなみに、海外メジャーの賞金を加算するためには、その年に開催されるツアートーナメントの競技数の半分に出場していなければならないという規定があるので、海外のメジャーに出場しただけではランキングに入りません。

2019年に、シード権はその賞金ランキングの65位までと変更になり、その前年までの70位まではQT(クォリファイングトーナメント)の上位に位置付けるといった優先出場権は無くなりました。これは、わかりやすい形に戻ったと言えます。

では、女子ツアーの場合。こちらはまさに今、過渡期にあり、その形はとても複雑です。重要なポイントは、賞金ランキングとメルセデス・ポイントのランキングという二種類があるという点ですね。

まず、賞金ランキングについてですが、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(以下、JLPGA)によると、JLPGAの賞金ランキングの対象トーナメントにおいて獲得した賞金の総額ということなので、海外で獲得した賞金はそれに含まれないことになります。シード権は、その賞金ランキングの50位までに与えられます。そして、それとは別に、今季はメルセデス・ランキングの上位50名にもシード権が与えられることになりました。

メルセデス・ランキングとは

2019年の末、今まで賞金ランキングによって決まっていたシード権が、メルセデス・ランキングよるものに変更されることが発表されました。本格的施行は2023年以降ですが、今季と来季は賞金ランキングとの併用となっています。

さて、メルセデス・ランキングとは何か。公式ホームページには、「JLPGAツアーの各競技及びUSLPGAメジャー競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング」と記載されています。賞金ランキングの場合、大会の賞金総額によって左右されてしまうという問題点がありました。それを、順位を一律にポイント化することによって、公平なランキングを目指した形ということになります。

JLPGAの対象ツアー終了時点で、メルセデス・ランキング第1位の者が年間チャンピオンとなり、3年間のシード権が与えられ、年間最優秀選手賞(JLPGA Mercedes-Benz Player of the Year)が贈られます。シード権もメルセデス・ランキングの上位50位までに与えられます。

つまり、今季と来季はそれに移行する段階。賞金女王と年間チャンピオンを一人のプレーヤーが独占するのか、はたまた別のプレーヤーに分けるのか、それも今年の注目ポイントとなります。

今まで賞金女王争いの場となってきた最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は、年間チャンピオンを決める場ともなります。

男子ツアー、女子ツアー共に、今季もいよいよ最終段階。熱くなっていく戦いに、目が離せません。シード権争い、賞金王、賞金女王、そして女子の年間チャンピオン、全ての争いをぜひ楽しんでください。

◆今季(2020-2021年度)のシード権・及び賞金王等の条件

 国内男子ツアー国内女子ツアー
来季出場権(シード権)海外メジャーの獲得賞金額を含む賞金ランキング上位65名国内の対象ツアーでの獲得賞金によるランキング上位50名、及びメルセデス・ランキング上位50名
賞金王、賞金女王、及び年間チャンピオン海外メジャーの獲得賞金額を含む賞金ランキング1位の者国内の対象ツアーでの獲得賞金による賞金ランキング1位の者 (=賞金女王) メルセデス・ランキング1位の者 (=年間チャンピオン)

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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