森田理香子直伝「朝イチからいいショットを打つスタート前の準備」

ツアー通算7勝を挙げ、2013年には賞金女王となった森田理香子プロ。ツアーでも屈指の飛ばし屋として活躍していました。ゴルフ場についてからスタートするまでの準備の仕方で朝イチや出だし3ホールのプレー内容が変わるといいます。森田流のスタート前の過ごし方を聞きました。朝はイメージしたスイングができないと思っている方は必見です。

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これからスイングしますよ!と体にサインを送るのがウオーミングアップ

みなさんはラウンドの日、ゴルフ場についてスタートするまでどんな過ごし方をしていますか? レストランで朝ごはんを食べて、コーヒーを飲んでゆっくりしながらスタートホールに向かう方もいますよね。エンジョイゴルフの方なら、そういう過ごし方でもいいと思います。しかし、「少しでもいいスコアで回りたい」、「日ごろの練習の成果を発揮したい」と考えている方は、スタート前の朝の過ごし方を大切にしてみてください。

現役時代の私は、スタート前は体を温めたり、関節の可動域を広げたり、筋肉をほぐすことに時間を割いていました。10分ほどランニングをして、その後30分ほどかけてスイングに使う筋肉のストレッチを行います。そして、スタート時間の1時間前から練習場に行ってショットやアプローチ練習をやり、練習グリーンでボールを転がしてからティイングエリアに向かっていました。

プロといえども寝起きのすぐでは、普段どおりスイングすることは難しいもの。思ったように体が動かないと手打ちになりかねません。しっかりと体を目覚めさせて、筋肉が動きやすいようにウオーミングアップをして体に「これからスイングしますよ」とサインを送ります。そうすることで朝イチからいいスイングができる準備が整います。それにラウンド中のケガの予防にもつながります。斜度のきつい斜面から打ったり、ボールを探しに走ることもあるので、しっかり動かしておきたいところです。特に、これから寒くなる季節は、夏場に比べて体は思うように動きにくいので、朝の準備は欠かせませんね、

現役を退いた今は、さすがにスタート前に30分もかけてストレッチをやったり、1時間も練習はしていません。さすがに疲れてしまいます(笑)。プレイベートでゴルフに行くときは、最低限の動きで5~10分程度ストレッチは行います。体を使ったスイングは、下半身や体の大きな筋肉の動きが大切です。太モモ裏の筋肉やアキレス腱を伸ばしたり、股関節、肩甲骨回り、ワキ腹、首を中心に動かします。割とオーソドックスですが、これをやるだけでもだいぶ変わります。

練習グリーンではその日のグリーンの速さを覚えましょう

ストレッチが終わったら、打撃練習場に行って1カゴ、30球程度打ちます。現役時代と違って、毎日ボールを打っているわけではないので、どういうボールが出るか不安になります。私はドローヒッターですが、ボールがつかまってドローが打てるのか、つかまりが悪くてドローが出にくいかと球筋の確認をしたり、体が動くとか動かないとかその日の状態を見極めます。基本的には朝の動きのイメージを持ってラウンドをしますが、場合によってはつかまりをよくするようにスイングを微調整することもあります。

打撃練習が終わったら、練習グリーンでボールを転がします。練習グリーンで一番やりたいのはグリーンの速さをつかむことです。グリーンの速さはゴルフ場によっても違いますし、同じゴルフ場でも日によって変わるものです。まず長めの距離の上りと下りでボールを転がします。カップの半径30センチ以内に寄ればOKなど目安をつくり、自分が打った感覚と実際のボールの転がる距離が合わせます。こえがタッチが合っているということです。

3パットはスコアメイクに大敵です。グリーンのタッチが合っていれば、3パットを減らせます。時間があれば、ストロークのチェックやショートパットで狙ったところに打ち出せているかの確認をしましょう。もし、スタート前に時間がないとき、私はその日のグリーンの速さを確認します。ゴルフ場に行くと9フィートといった表記があると思います。フィートはグリーンの速さを表しますので、その数字だけ確認するだけでも違います。ツアーのグリーンは、11フィート以上の高速グリーンが多いですが、一般営業のコースだと8~9フィート台が中心だと思います。

スタート前の準備を大切にするだけでも1打、2打はすぐに縮められると思います。

森田理香子 オススメストレッチ

体を使ったスイングで飛距離を出すためには下半身の動きが大切。①伸脚の浅いバージョンと②深いバージョンの2種類、左右交互に行う。ふくらはぎや太もも裏の筋肉を伸ばし、股関節の可動域を広げることも意識する。

③は片足を前に出して腰を落とす。アキレス腱を伸ばしたり、太もも全体を伸ばす。④は前屈をして、足の裏側の筋肉を伸ばす。森田プロは手のヒラが地面につくほどで「軟らかいでしょう」と柔軟性の高さを見せる

⑤は股関節を開き、同時に肩甲骨の可動域を広げる。片方の肩を前方につき出し、突き出した側の手でヒザをゆっくりと外側に広げる。肩甲骨回りの筋肉や太ももの裏の筋肉が伸びる。左右交互に行う。⑥クラブを両手で持って頭より高く上げる。左右に反らしてワキ腹を伸ばす

⑦は上体を脱力したまま軽くジャンプをする。⑧は、首を前後左右に動かす。インパクトで首に衝撃がくるのであらかじめ動かして置く

森田理香子プロフィール

もりた・りかこ/1990年1月8日生まれ、京都府出身。ツアー通算7勝。2008年にプロ入入り。10年の「樋口久子IDC大塚家具レディス」でツアー初優勝。13年には年間4勝を挙げ、23歳で賞金女王に輝いた。18年を最後にツアーから撤退し、現在はゴルフウェアのプロデュースや、ゴルフ中継の解説などで活躍している。スイングの動きを見直したら、ドライバーの飛距離は現役時代より10ヤード伸びたという。

撮影/福田文平 取材・文/小高拓

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