佐伯三貴が教える【プロゴルファーの年末年始】

こんにちは。佐伯三貴です。クリスマス前あたりから年末年始が特別なシーズン、という方もたくさんいらっしゃると思います。お仕事によっては日常と全く変わらない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、それはそれ。今日はプロゴルファーの年末年始をご紹介しようかと思います。

ツアーに出ているプロゴルファーにとっては、オフシーズンはいつもと違う特別な時期です。3月初めから11月末までびっしりと試合がある女子プロの場合は、とくに大切な2か月間となります。

たいていのプロがまず考えるのは、体のメンテナンスです。日頃からトレーニングを続けているプロゴルファーにとっても、移動に次ぐ移動をしながら毎週、プレーを続けることは、体に大きな負担となっているからです。シーズン中のように、次の試合がすぐにあるわけではないので、落ち着いて体をケアすることもできます。

とは言え、シーズンの余韻が残る12月は、まだまだ仕事がたくさんあります。とくに、成績が良かった選手はうれしい悲鳴を上げるほど、忙しくなります。優勝者だけが参加できるJLPGAアワードを始め、色々な表彰や取材が続きます。

コロナ禍の今は縮小気味ではありますが、祝勝会やタイトルのお祝いの会など、主役となるパーティーはうれしいお仕事です。所属先などスポンサーへのあいさつ回りやゴルフ(プレーする場合も、ホステス役として顔を出す場合もあります)は、シーズン中にはできない大切なお礼やコミュニケーションの機会。ゴルフウェアではなくパーティードレスやスーツ、ヒールの靴などと格闘する季節でもあります。

◆佐伯プロ自身のお正月の過ごし方は?

それでも、年末年始は少しのんびりする人が多いでしょうか。私の場合は、クリスマスイブが母の誕生日なのでなんとなく意識していましたが、仲間内でパーティーをすることもありましたね。年末年始は古風に家でお休みしていました。きちんと大掃除をしてお風呂をきれいにして新年を迎える準備をするのが年末のお約束です。年越しは、近くのお寺で除夜の鐘をついて心を新たにします。

元日は朝9時に家族で集まってお節をいただき、炬燵でミカンを食べる日本のお正月を満喫するのが恒例です。1日でもクラブを握らないと落ち着かない、という人もいますが、私は3日くらい握らなくても大丈夫なタイプ。お正月を味わって、初打ちは3日か4日ごろ。身内かお友達とのんびりゴルフをして、まだ気持ちはオフの解放モードです。

試合に出ていた頃は、必ず次のシーズンの目標を具体的に立てていました。毎年、必ず掲げていたのが『前の年の自分を越す』ということ。ほかにもいくつか具体的な目標がありました。プロゴルファーとしてのこれらの目標と一緒に、家族の健康、自分の健康など、何十本もの板に祈願を書いて護摩行(ごまげ)を受けるのが習慣になっていました。今はコロナで行けませんが、1月10日ごろには温かいハワイで始動していたのですが、その前に必ずこれをして、新しいシーズンに向かっていました。

オフに入ってすぐ、トレーナーとはディスカッションしてメンテナンスやトレーニングについて計画を立てているので、体づくりは徐々に始まっています。筋肉のどこをどう鍛えるのか。トレーニングのメニューもできています。

ハワイでの始動はまず、トレーナーと一緒に体づくりに重点を置いて始めます。ラウンドを挟みつつ、2月にはコーチも合流して3月の開幕に備えるのが、いつものパターンでした。このハワイキャンプの時“坊ちゃん”こと松山英樹プロと会って一緒にゴルフをしたり、食事をしたりする機会もありました。

私の例をお話ししましたが、細かいことはそれぞれでも、多くのプロは似たようなペースで開幕に備えます。その中で、ごく数日、日ごろ会えない家族や友達と食事をしたり、旅行をしたり、というのが一般的です。

3か月と書くと長いようですが、オフはあっという間に過ぎていきます。コロナ禍で海外に出るのは難しく、国内でも遠くに移動するのがはばかられた去年は、どこでオフを過ごすか考えるのも大変だったでしょう。現状では今年は少しマシですが、みんな工夫をしながら新しいシーズンに備えているはずです。思いがけず、ゴルフに行ったらプロに会えた、などということがあるのもオフシーズンです。オフのプロの姿を想像しながら、開幕を心待ちにしていただくのも楽しいかもしれません。

取材・文/小川淳子 写真/Getty Images