ツアー観戦初心者は必見!「ZOZOチャンピオンシップ」は“米国男子ツアー”。いつもの試合と何が違う?

松山英樹プロの優勝で締めくくられた、PGAツアーの第6戦目「ZOZO CHAMPIONSHIP(アコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブ/千葉県)」。優勝を決める最終ホールのセカンドショットとイーグルパットは圧巻でした。たくさんのギャラリーに埋め尽くされた最終ホールの大歓声。プロゴルフツアーの観戦はこうでなければ! と思わせてくれるような大会となりました。

ZOZOチャンピオンシップでの松山英樹プロ( 画像/Getty Images)

さて、「ZOZO CHAMPIONSHIP」を観戦して、「いつもテレビで見ている男子ツアーの選手達と顔ぶれが違う?」と思われた方もいるかもしれません。今回は、トーナメント観戦ビギナーの皆さまに「ZOZO CHAMPIONSHIP」をはじめとした米国男子ツアーの基本と、普段TVやネットで目にする日本の男子ツアーの違いを、簡単に説明していきます。

そもそもPGAツアーって何?

冒頭に、「ZOZO CHAMPIONSHIPはPGAツアーの第6戦目」とご紹介しました。「PGAツアー(PGA TOUR)」とは、アメリカ合衆国及び北米における男子プロゴルフツアーを運営する団体のことを言います。1968年にツアー運営のために「全米プロゴルフ協会(PGA of America)」から独立した組織であり、その団体が運営するツアートーナメントの名前も、「PGAツアー」という名称がそのまま使われています。つまり「ZOZO CHAMPIONSHIP」は日本で開催されていますが、米国男子ツアーということになります。

「PGA」という名称は全米プロゴルフ協会だけでなく世界中のプロゴルフ協会で使われているため、それらと区別をするためにUSPGAツアーと言われることもあります。

ちなみに、米国の女子ゴルフを運営するLPGAと呼ばれる「全米女子プロゴルフ協会(Ladies Professional Golf Association)」とは、全く別の組織です。「PGAツアー」とは男子に限った話ということになります。PGAという名のつく組織が多すぎるのも、わかりにくさを増す原因かもしれません。まずは全ての組織を区別して考えてみましょう。

フェデックスカップとは?

「PGAツアー」は10月からシーズンが始まって、翌年の9月に終わります。10月の「セーフウェイ・オープン」から翌年9月の「ザ・ツアーチャンピオンシップ」までの期間を、1シーズンとする形が2014年度から採用されました。その1シーズン中に行われた大会の賞金額や割り振られたポイントによって、その年の賞金王や「フェデックスカップ」総合優勝を決めます。

では、「フェデックスカップ(FedEx Cup)」とはどういうものなのでしょうか。フェデックスカップは、物流の会社であるフェデックスがスポンサーをしているPGAツアーのトーナメントの名称で、2005年に発表され、2007年から採用されました。大会ごとに割り振られたポイントで、年間の総合優勝を争います。

プレーオフシリーズと呼ばれる最後の3試合「ザ・ノーザン・トラスト」、「BMW選手権」、「ザ・ツアーチャンピオンシップ」は、通常のトーナメントの4倍のフェデックスカップポイント(優勝2,000 ポイント)が与えられます。しかもその出場権は、ザ・ノーザン・トラストにはレギュラーシーズンのフェデックスカップポイント上位125名、BMW選手権には前週までの上位70名、ザ・ツアーチャンピオンシップには前週までの上位30名といったように、サバイバル戦になっています。

最終戦のザ・ツアーチャンピオンシップでは、2018-19年シーズン以降、ハンディキャップ制が導入されました。前週のBMW選手権までのフェデックスカップポイント1位の選手には-10、2位の選手には-8、3位の選手には-7…といったように、スタート時のスコアにハンディを付けます。それまでは、ザ・ツアーチャンピオンシップの優勝者がフェデックスカッププレーオフシリーズの総合優勝者とは限りませんでしたが、ハンディキャップ制が導入されたお陰で、ザ・ツアーチャンピオンシップの優勝者が総合優勝者というわかりやすい形になりました。

その年の賞金王とフェデックスカップ総合優勝が、必ずしも同じプレーヤーでないということからもわかるように、大会によって差が大きい賞金だけでは、プレーヤーの強さを証明できません。今回の「ZOZO CHAMPIONSHIP」の優勝賞金(約2億円)も、もし日本人選手が優勝した場合、この大会だけで賞金王になってしまう可能性があるため、JGTOの賞金ランキング加算競技の対象からは外されています。日本もポイント制があれば…と思ってしまいますが、現状としては仕方が無いことかもしれません。

日本でPGAツアーの試合が開催されることはとても貴重なこと!

普段テレビで見ることができるような、日本で開催されている男子のゴルフトーナメントは、JGTO(日本ゴルフツアー機構)主管によるものが主です。「ZOZO CHAMPIONSHIP」は、2019年に日本で初めて開催されたPGAツアーの試合。PGAツアーと株式会社ZOZOが主催し、PGAツアーが主管した大会なので、日本でいつも行われているトーナメントではなく、PGAツアーの内のひとつの大会ということになります。そのため、出場選手の顔ぶれが全く違うというわけです。

その中にいつものトーナメントで見るような日本人選手が出場している理由は、JGTOが共催しているためであり、出場している日本人選手の多くは、推薦枠での出場ということになります。

PGAツアーにとっては、まだシーズン頭の大会ではありますが、それでも普段テレビでしか見ることができないような世界のトッププレーヤーが日本に来て、そのプレーを間近に見ることができるこの大会は、大変貴重です。日本のプロゴルフツアーにとっても、大きな刺激となる大会であることは間違いありません。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

おすすめの関連記事