佐伯三貴が感じるプロとアマの違い【大事なのは自分を客観的にみること】 

こんにちは。佐伯三貴です。今日は、プロゴルファーとトップクラスのアマチュアゴルファーの違い、近頃、アマチュアが活躍している理由、大事なメンタルなどについてお話ししたいと思います。

最近の女子ツアーでは、どんどん若い選手が活躍しています。高校生のアマチュア選手が上位に入ることも珍しくありません。つい先日の、スタンレーレディスでも、高校3年生の佐藤心結(みゆ)さんがプレーオフに進出。最後まで優勝争いを演じる大活躍を見せてくれました。

画像/Getty Images 〈左〉渋野日向子プロと〈右〉佐藤心結さん

2003年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で、高校3年生だった宮里藍さんが優勝したのが、ゴルフ界にとって大きな出来事だったのは間違いありません。その後、2014年に勝みなみさんがKKT杯バンテリンレディスに高校1年生で勝ってから、トップクラスのアマチュアが、ツアーに出場する機会は激増しています。勝さんと同学年の畑岡奈紗さんが、2016年日本女子オープンを制し、その傾向はさらに強くなったと言ってもいいでしょう。だれもが「私にもできる」と、可能性を感じられる状態になったのも確かです。

次々にアマチュアが活躍できるようになった大きな理由として、今言ったようにプロの試合でプレーする機会が増えたことが考えられます。

◆プロとアマチュアの一番の差とは?

そもそも、プロとアマチュアの一番の差はどこにあるのでしょう。私は、経験値の違いだと考えています。以前は、アマチュアとして十分実績を積んでいた選手でも、プロになった途端に壁にぶつかるようなことがよくありました。プロの試合での経験値が少ないことによって、難しいセッティングに苦労するというような技術的なことだけでなく、その舞台での緊張感などメンタル的にも気後れするようなこともあるからです。中には、期待されてプロ入りしたのに、いつの間にか姿を消してしまうような人もいました。

現在はずいぶん状況が変わっています。試合でプレーするだけでなく、ジュニア時代からプロも教えているコーチについている選手が多いのも影響しています。コーチを通じて、あるいは“同門”の先輩であるプロから、直接、様々な情報が得られます。ゴルフは、練習も含めて考え方が大きなカギを握ります。プロが身近になったことで、その考え方も聞くことができるのです。これによって、自分で経験していないことも、経験値に近い形で蓄積できているのではないでしょうか。

2007年に私がプロになったころを考えると、情報も少なく、今ほどはプロの世界のことを知らなかったな、と思います。

◆ゴルフ部コーチをつとめて1年半。今思うこと

私が、母校(東北福祉大)の女子ゴルフ部コーチを始めて1年半くらい経ちます。(ツアーの)一線を退くことを決めて監督(阿部靖彦氏)に報告した時、「時間が空くならやってみないか」と言われたのがきっかけです。月に1回程度、広島から仙台に飛んで、練習を見たり、相談に乗ったりしています。

現在、15人の部員には、プロを目指している子もいれば、そうではない子もいて、将来の夢はそれぞれ違う。でも、めちゃくちゃ探求心があって、わからないことはすぐに聞きに来る。素直でいい子ばかりそろっています。

以前にも書いたと思いますが「団体戦は全部勝つ」ことを目標にしているので、うまくなったらどんどんアピールするように伝えています。うまくなったらどんどん選手も変えていく。逆に「私なんて」と遠慮しているような人はいりません、と言うスタンス。おかげで、それほど根を詰めてゴルフをしていなかった子が60台を出すようなこともあるほど、私が携わってから目に見える成長があるのもうれしいですね。

コロナ禍なので、部員同士が(寮の)部屋で行き来することも禁止するほど厳しい制限がある中、頑張っている後輩たち。そのストレスを少しでもとってあげられたら、と思って、指導をゲーム方式にしたり、勝ったらランチに連れて行ってあげたりすることもあります。趣味を持つ、など、息抜きの仕方も教えてあげたいです。

東北福祉大では、定期的にプロが指導する、というのは初めてのことです。それについて女子プロの仲間や卒業したOBやOGたちは「恵まれてるよ」と後輩たちに言っています。自分で言うのもなんですが、私も大学生の頃、こんな風に定期的に見てもらえていたらな、と思います。

ツアーの一線を離れた今だからこそ、競技に集中している選手たちのメンタルを客観的に見ることができます。上達するためにたくさん練習するのは当たり前なのですが、その内容や自分自身について把握することが大切です。でも、完璧を求めて、いくらやっても「足りない、足りない」と練習しすぎることで、大事なポイントがズレてしまうことは珍しくありません。はたから見ていると「ここだけでいいのに」と言うところを外して、ほかをいじってしまってダメになるケースのなんと多いことか。

周りが言ってあげられればいいのですが、そういうときには、誰の言葉にも耳を貸さなくなってしまうのも、よくあること。時には人の話を素直に受け入れることも必要です。どんな風に受け入れるか、受け入れ方は自分次第だと思います。

常にしっかりと自分というものを持ちつつ、上手に息を抜いて、客観的に自分を見る。とても難しいことですが、これができることが、長く活躍するコツなのかもしれません。

取材・文/小川淳子 写真/Getty Images