ゴルフトーナメント中継の謎!?カメラマンを観察してみました。

「なんでいつも同じ選手ばかり映すの?」「ネットに結果が出ていて、興味が半減」「良い所なのに、中継が終わってしまった」。

トーナメントのテレビ放送を見ていて、そんな不満を感じたことはありませんか? しかし、そこにはゴルフという競技ならではの、深い事情があるのです。

ホール間の移動は、想像以上に大変!

イメージ画像/Getty Images

「映す選手が限られていて面白くない」という意見を時々耳にします。推しの選手がいたら、その選手のプレーを多く見たいと思うもの。でも、その現場を見たことがあれば、同じ選手ばかりになってしまうのは仕方がないのかな…と思います。

テレビ局が持ち込むカメラの台数は、大会によって様々。「やぐら」と言われる高いタワーを組んで、何ホールも見渡せるようなところに定点カメラを設置していた時代もありましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。

よく見るパターンとしては、上がり数ホール(16、17、18番ホールといった形)に設置された定点カメラと、移動しながら撮影するカメラが数台、それぞれ決められた場所、もしくは組を撮影するといったものです。定点カメラのあるホールに選手たちが来るまでの間は、移動のカメラが中心になるわけですが、この移動が大変な重労働なのです。

イメージ画像/Getty Images

まず、ホール間を移動することが大変なコースというのが多く存在します。よく行くゴルフ場があれば、そこをイメージしてみてください。

さて、13番ホールで「あの選手がスコアを伸ばしているから、8番に行ってくれ」と言われました。13番と8番ホールの間に一体どれだけの障害物が待ち受けているかを想像してください。単純に数ホールを逆走すれば良いというものではありません。その間には、乗用カートなら全く気にしたこともない下り坂が、逆走する場合は息があがってしまうような上り坂になってしまったり、地図上ではすぐ隣のホールに見えても、実はその間に「マムシ注意」の看板があるような場所があったり。

それでも体力を削りながら逆走したとして、一番の問題は選手がプレーをしていること。選手たちは前の組との間隔を開けないようにプレーしているため、逆走する場合には、対向してくる選手たちを順々に見送りながら移動していかなければなりません。選手が打つ時には立ち止まり、フェアウェイを歩くことも許されません。しかも、移動している間にスコアを伸ばしていたはずの選手が崩してしまったら…。

有線から無線になり、カメラが軽量のものになっても、カメラマンの移動には限界があり、あちらこちらの組を映すということはほぼ不可能。そうなると、優勝争いをしている組、そして今一番旬だと思われる選手の組、そういったところにカメラが配置されるのはやむを得ないのかなと思います。

ネット配信は多種多様

では、ケーブルテレビやネットでの配信ではどうかと言うと、その映し方は様々です。

1番ホールばかりを映した放送を初めて見た時は衝撃的でした。順々にスタートしていく選手たちの紹介を聞きながら、スタート前の独特な雰囲気を見ることができますし、練習場の様子なども交えて紹介していたりして、まさにトーナメントの楽しみ方のひとつだなと思ったものです。

そして何より良いのは、リアルタイムであること。プレーオフや天候による遅延など、どうしても予定通りに終わらないゴルフというスポーツを、枠が決まっているような形で放送するということ自体がやはりちょっと無理があるというか…。プレーオフが4ホール、5ホールと長引いてしまった時など、放送時間内にその大会自体が終わっていないこともあるぐらいですからね。

でも! スポーツはやはりリアルタイムが良い! ネット上で見ることのできる速報と見比べながら、選手たちの順位、位置、状況などを把握でき、そうすることで最終ホールの緊張感を少しでも感じることができるのではないかなと思います。

最近増えて来たネット配信の場合、撮影機材もとても小さく、映像の質よりもその小回りの良さが魅力です。全組についているスコアラーの方にカメラを持たせるなど、全ての組にカメラを配置する、そんなこともいよいよ夢ではなくなってきました。

今は何でも選べる時代。ゴルフのテレビ観戦も、これからはテレビ放送とネット配信、両方を駆使して、一緒にお家観戦を楽しみましょう!

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。