酒は飲んでも飲まれるな! ゴルフ場の飲酒事情を現役キャディが斬る

こんにちは。ハウスキャディ歴●年のB子です。さて、先日のことです。最終組のキャディだった私は、午前中のラウンドを終えて控室でお昼休憩をとった後、午後のスタートホールでお客様が出てくるのを待っていました。しかし、時間になってもお客様が誰ひとりとして現れない! まあでも、最終組で後ろもいないし、プレーもそれほど遅くないお客様だったので、「まあ、大丈夫でしょ」程度にのんびりと構えていたのですが……。スタート時間をちょっぴり過ぎてやってきたお客様。なんだか、すごく声が大きい⁉ しかも、お顔が真っ赤! お客様方、レストランでずいぶんとお酒を召されたようです。

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◆飲酒がもたらす事故や体調不良

暑い日のゴルフでは、冷えたビールが美味しい! ラウンド後のお酒は、たまらない! というわけで、とくにお昼休憩が長かったりすると、かなり酔っぱらってしまう人も。朝からお酒を飲む方もいて、スタート前にレストランで既に出来上がってしまう人もいます。「B子さんのお客様、レストランで既に出来上がっているので、頑張ってください」なんて、マスター室から報告が入ったこともありました。カートの座席を占領してしまうような大きなクーラーボックスの中身が全てお酒だったこともあります。スタートホールで、声高々に乾杯されていましたね。

お酒を飲むことで、「酔拳」「ハイオク満タン」なんて言いながら、いい具合に力も抜けて調子が良くなるお客様は確かにいらっしゃいます。が、しかし! ゴルフが雑になってしまったり、ふらふらしてボールに当たらなくなってしまったり、周りが見えなくなってしまったりということが起きがちなのが、飲酒運転ならぬ飲酒ゴルフ。

おしゃべりに夢中になって笑い声が大きくなり、近くで打っている人がいるのに騒いだり、もう打てる状況なのに気づかなかったり。たくさんお酒を飲むとトイレが近くなるため、前が空いているのに全員がトイレに行ってしまったり、間に合わずにそこかしこで用を足してしまう方もいます。数ホールを終えて酔いが醒めてくると、眠くなってしまったのか、カートやティグラウンドに寝そべってしまうお客様も。

プレーが雑になってしまうだけならいざ知らず、暑い日の飲酒ゴルフには危険が伴います。水分補給と称して飲酒される方もいらっしゃいますが、それは逆効果。夏場のゴルフ場では、熱中症による救急搬送も少なくなく、軽い気持ちでの飲酒が命に係わることもあるんです。

夏場に関わらず、お酒の飲みすぎによる事故は日常茶飯事です。バンカーに落ちて骨折されたお客様もいらっしゃいます。とくに危険なのが、乗用カートの飲酒運転。リモコンではなく、自分で運転するタイプのカートだった場合、カート道を外れてしまい、木に突っ込んでカートを破損してしまったり、前の組のカートに追突してしまったりすることも珍しい話ではありませんでした。そういった際のカートの修理代や治療費等は、お客様負担のことがほとんど。現在は、飲酒しての自走式カート運転を禁じているコースがほとんどです。ゴルフ場だから安全! なんて、過信してはいけません。

◆ お酒とゴルフの関係

発祥の地と言われるスコットランドでは、ラウンド中に寒さを凌ぐためにウイスキーを飲んでいたというのは有名な話。スポーツしながらお酒を飲むなんて! と、他のスポーツをされる方からは異端扱いされがちなゴルフですが、接待の場合には「どこかのお店で2時間飲むよりも、ゴルフで1ラウンドした方が良い」と言われることからも、社交としての比重が大きいスポーツであることは間違いありません。

コロナ禍の頃、居酒屋などのお店でお酒が飲めなかった時期には、ゴルフ場ならラウンドしながらお酒を飲めるからという理由で前よりも頻繁にラウンドするようになったというお客様も多くいらっしゃいました。そのため、お酒とゴルフは切っても切り離せないものなのかもしれませんね。

それでも、万が一事故にあってしまっては楽しい時間も大切な社交の時間も、残念な結果になってしまいます。飲みすぎは、禁物です! ちなみに、ゴルフ場の出口付近で飲酒運転の取り締まりをしていることもあります。帰りの車の運転がある方は、飲酒は控えましょうね。

◆キャディのB子 プロフィール

キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。

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