ゴルフトーナメント会場にある『掲示板』のトリセツ

トーナメントを観戦していると、18番ホールのグリーン脇に設置されている大きな「あれ」。見たことありますか? 

選手の顔が大きく映し出されるようなものから、たくさんの数字が並んでいるようなものまで、スコアを掲示する大小様々な掲示板がトーナメント会場にはあります。その他にも、会場の全体図と選手がプレーしている位置を示すものなど、掲示板の内容は様々。今回は、テレビ観戦なら全く風景の一部でしかないような『掲示板』に焦点を当ててみたいと思います。

画像/Getty Images

コースに着いたら、まずは推しの選手の現在地を確認!

画像提供/おだみな

トーナメントが開催されている会場に着いてまず真っ先に目に入る位置にある掲示板は、入り口で渡されるペアリング表(その日、何時何分に誰がスタートしているかが書かれた紙)がそのまま書き写されたようなものと、会場の全体図が描かれたもの。ギャラリーゲートをくぐってすぐの所に設置されています。

どの選手がどんなスコアで、今どのホールに居るのか? ということを確認できるようになっていて、会場に着いてすぐに、推しの選手の場所と成績を確認できるという優れものです。

そこに併設されていることの多い「サマリーボード」と呼ばれる掲示板は、アテストを終えた選手の名前が、成績順に並べられていくものです。つまり、全ての選手がホールアウトしてやっと出来上がる掲示板というわけです。

その日の組み合わせ表とコースレイアウトとサマリーが揃ったその掲示板の前では、トーナメントの思い出に記念写真を撮るギャラリーの姿を見ることができます。

画像/ALBA Net(2016年、蛭田みな美プロがキャリングボードを担当)

次に、全ての組に配置される「キャリングボード」と呼ばれる掲示板をご紹介します。その組の選手の名前とスコアが記されていて、ボランティアやアルバイトが手に持ち、最終ホールまでその組につきます。観戦の際、それを確認することでどの組がやってきているのかがわかるというわけです。

選手のプレーを間近で見ることができるその仕事は、ボランティアさんにとってスコアラーと同様に花形の仕事に思われがちですが、風が吹くと持っている事さえ大変! ネームプレートはバタバタ音がするし、立つ場所には気を遣わなければならず、決して楽な仕事ではありません。

スコアを確認するだけじゃない!リーダーズボードの見方

各所に設置されている「リーダーズボード」と呼ばれる順位を示す掲示板は、最終ホールに近づくにつれて設置されている場所が増えていく傾向にあります。優勝争いが熾烈さを増していく後半ほど、スコアが気になるもの。そこを通り過ぎていく選手が、それを見るか見ないか、そんなことを観察するのも楽しいものです。

画像/ALBA.Net(2014年)

マスターズで見られるような、たくさんの数字が並んだリーダーズボードは、他のシンプルなものと違って順位の変更が非常に大変。そのホールを終えた時のトータルスコアを示すそれは、ひとりの選手に対して最大18個の数字を動かすことになります。そのホールでプレーをしている選手がいれば変更することができませんし、ただ数字を足していくだけではなく、順位の変更があるたびに選手の名前とその数字全ての場所を入れ替えなければなりません。たまに順位が上下してしまっているのは、変更が間に合わなかったか、それともまだ変更があるだろうから少し様子見をしているか、しっかり理由があるのです。

スタッフの手によって、そこに載っていた選手のネームプレートが外されると、ギャラリーがざわざわとするのですが、その瞬間が私は好きです。そのネームプレートが上に行くのか外されたままになるのか、他に誰が移動になるのか、それとも新しい名前が入るのか。刻一刻と変わる優勝争いの状況を想像して、ワクワクします。

しかし、段々と人の手によるものが減って、その瞬間に立ち会える機会はめっきり減ってしまいました。

今ではデジタル化されて、大きなモニター画面が設置されている大会が増えました。そこに現在の順位だったり、選手のプロフィールだったり、途中のプレーの様子だったりと、画面に映し出される情報は常に変化して、18番ホールのギャラリースタンドで最終組を待つギャラリーを飽きさせない仕組みになっています。

それを見ながら、18番でのんびり観戦するのも良いですね。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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