「走るゴルフ」をご存知でしょうか? スピードゴルフと呼ばれ、ショットのスキルに加え走るスピードや持久力も必要になるスポーツのようです。ゴルフには、ディスクゴルフやフットゴルフなどゴルフと何かをかけ合わせた新しいスポーツが生み出されています。今回は「スピード×ゴルフ」です。どのようなスポーツなのか、そのルールや特徴を解説します。
◆スピードゴルフってどんなスポーツ?
スピードゴルフは、ゴルフの技術とランニングのスピードを組み合わせた、ダイナミックなスポーツです。18ホールのスコアと最終ホールのカップインまでのタイムを競います。ゴルフであれば1打1打に集中し、じっくりとプレーできますが、スピードゴルフではそのような余裕はありません。タイムもスコアに影響するため全ての動作をスピーディーにする必要があります。
具体的なスコアは、打数とホールアウトまでの時間を合計した「SGS(スピード・ゴルフ・スコア)」で決まります。SGSでは、1分が1打と同じ価値を持ちます。たとえば、スコアが90で最終ホールのカップインまでのタイムが90分の場合、SGSは180となります。つまり、よいスコアが出せない人でも、タイムでカバーできる点がスピードゴルフ最大の魅力です。
そんなスピードゴルフが始まったのは、1979年と言われていますが、アメリカを中心に認知されるようになったのは2000年に入ってからです。2012年にアメリカで初めての世界選手権が開催されました。ちなみに世界記録は、2021年にアメリカのスコット・ドーリーが記録したスコア65、タイム42分15秒のSGS107.15という驚異的な数字です。
◆スピードゴルフとゴルフの違い
ゴルフでは、ショットを慎重にイメージし、風向きや距離を考慮する時間があります。一方、スピードゴルフではプレースピードも重要視され、できるだけ速くコースをラウンドしなければなりません。そのため、迅速な判断と素早い行動が要求され、プレーヤーはボールを打った後すぐに次の地点へ走り出す必要があります。
また、ゴルフでは14本のクラブでコースを回りますが、スピードゴルフは7本までしかクラブを使用できません。プレーヤーは自分のスタイルやコースの特性に応じて、最も必要なクラブを4〜5本選択することが多いです。使えるクラブの本数が少ないため、同じクラブで距離を打ち分けられる高いスキルが要求されます。
◆スピードゴルフの基本ルール
スタートは一般的に時間差で行われ、選手がひとりずつスタートしていく形式です。公式な競技では、プレーヤーがゴルフバッグを自ら運ぶ必要があり、カートの使用は許可されていません。また、ゴルフでは、旗竿をカップから抜くのは自由ですが、スピードゴルフにおいては禁止されています。
OBを打った場合は、1打罰でOBの境界を最後に横切ったところからホールに近づかないように2クラブレングス以内にボールをドロップしてプレーを再開します。また、同じ場所から1打罰で打ち直すのも可能です。
スピードゴルフは、ゴルフという伝統的なスポーツに新たな動きと緊張感をもたらす魅力的なスポーツです。速さを追求することで、プレーヤーはただボールを打つだけでなく、どのようにして最も効率的にコースを駆け抜けるかを考えなければなりません。また、体力と技術、戦略を同時に鍛えることができるため、多くのゴルファーにとって新たな挑戦となっています。スピードゴルフは、これからも多くの人々を虜にしていく革新的なスポーツと言えるでしょう。
取材・文/夢書房