猛毒ヘビがやってきたら? 薔薇のトゲが体に刺さるときはどうする? おもしろいゴルフルール

ゴルフルールには、カラスがボールを持っていってしまったときや、モグラの巣にボールが入ってしまったときなど、特殊な状況でのゴルフルールが存在します。今回は、ボールの近くに猛毒を持ったヘビがいる、体に薔薇の棘が当たってしまうなどの状況でどう対応するのか解説します。

妙に具体的なルールがゴルフに多いのは、審判がいなくてもプレーヤー同士で解決できるようにするためです。そのためゴルフには「そんな状況いつくるの?」と思うようなおもしろいルールが存在しています。世界基準のゴルフだからこそあり得る特殊なルールの一部を紹介します。

◆大自然でのスポーツならでは?!生き物に関するルール

ゴルフは「あるがままの状態でプレーする」を大原則とするため、基本的にボールを打ちやすい場所に動かしてプレーすることはできません。

では、ボールのすぐそばに猛毒のあるヘビがいた場合はどうでしょうか? ゴルフ協会の規則によると、毒ヘビは「危険な動物の状態」になり、罰なしの救済が受けられます。毒ヘビだけでなく、刺すハチやヒアリ、ワニやクマなど、あるがままプレーするとプレーヤーが重傷を負う可能性がある場合は、罰なしで救済される対象となります。(規則16.2a)

また、ルースインペディメントをご存知でしょうか? ”分離された自然物”のことで、石や落ち葉などが該当します。ただ、どこまでが”分離された自然物”にあたるのか素人目には判断が難しいこともあるでしょう。「アリ塚はルースインペディメントに該当する」というのもややこしいルールのひとつです。

基本的には、動物が掘った穴を平らにする行為は、「穴、窪み、起伏のある面を作るそれらを失くす行動」にあたり、ルール上認められていません。ただし、ルースインペディメントの定義のなかで、ミミズや昆虫が掘った穴は”動物が掘った穴の対象外”とされ、ルースインペディメントに該当し、取り除けます。アリ塚もゴルフ規則の定義上、「昆虫が作った簡単に取り除ける盛り土」となり、石や落ち葉などと同じ扱いになります。(規則15.1、定義)

◆「イタッ!!」体を張ったのになぜか不利なルール?!

自分の打ったボールが他人に当たった、もしくは木などで跳ね返って自分に当たった経験はあるでしょうか? 他人に当ててしまった場合は無罰。しかし、何らかの偶然で打ったボールが自分に当たった場合は、なぜか1打罰が与えられるルールがありました。

体にも精神的にもダメージを負いますが、これは旧ルールの話。2019年にゴルフルールは大きく変更され、他人に当てた場合と同様に、自分に当たっても無罰扱いになりました。また、打ったボールが木などで跳ね返り、地面に置いてあった自分のクラブなどに当たった場合も無罰で、球が止まった場所からプレーが再開されます。(規則11)

では、打ったボールがたまたま薔薇の近くに止まってしまい、薔薇に密着しないとスイングできない状況ではどのようなルールが適用されるのでしょうか。

薔薇などのトゲから身を守るために、薔薇自体にタオルを巻くと2打罰が与えられます。これは、”コースはあるがままにプレーする”ゴルフの原則を守れないからです。薔薇は生長(草木が生い育つこと)している自然物なので動かしてはいけません。しかし、プレーヤー自身の体にタオルを巻くことは認められています。理由は、プレーヤーが「物理的な援助、気を散らすものを排除することができる」ためです。(規則8.1a、規則10.2b)

自然の中でプレーするゴルフは、変な物が落ちていたり、急な悪天候でライが変わってしまったりと想定外なシュチュエーションも多いです。そのため、抽象的なルールだけでは、実際の状況に当てはめることが難しく、困ってしまうことも。具体的なルールを知っているだけで、プレーを有利に進められる可能性もあります。ぜひルールを勉強して、損をしないゴルフをしましょう。

取材・文/夢書房

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