香妻琴乃のパッティングを変えた“グラビティメソッド”とは?

重心バランスを整えることで、すべてのクラブ、コースのあらゆる状況で再現性の高いスイングが可能になります。そう語るのは香妻琴乃プロのパッティングコーチ大本研太郎。動きが小さく、重心バランスを保ちやすいパッティングの動きを基本に、それをショットへと繋げていくことができます!

考え方としては、「クラブの軌道は重心が作る」ということ。ツマ先体重で構えれば、ヘッドをインに引きすぎてしまうし、カカト体重で構えれば、ヘッドを外に引きすぎてしまう。“土踏まず体重”なら軌道が安定してパットが入ります。その具体的な方法を教えていただきました!

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◆前後左右のバランスをすべて均等に整える

大本研太郎コーチ(以下、大本):私のところには男女を問わず、パットやショットの悩みを抱えたツアープロが相談に訪れます。その内容は様々ですが、ほとんどのプロはなんとか調子を取り戻そうと情報過多になり、自分ではほどけないほどに、糸がからまった状態に陥っているんです。そもそも、ツアープロになれる選手というのは皆、高いパッティングのスキルを持っています。ところが、思うようにパットが入らなくなると、自分本来の打ち方、スタイルを見失ってしまいます。

香妻琴乃プロもそうでした。彼女は14年シーズンに、平均パット数1位に輝いた実力者です。頭の中でいっぱいに膨れ上がった情報を整理してあげて、本来の打ち方、スタイルを取り戻してもらう。私は彼女にそのための道案内をしてあげただけです。プロはもちろん、アマチュアでもストロークが安定しない人に共通しているのが、アドレスで重心のバランスが崩れていることです。

アドレスでツマ先やカカト側に体重が偏ると、人間の脳は倒れないようにバランスを取ろうとして、体のいろいろな部分が余計な動きを始めます。両足のウラの中心、土踏まずに体重がしっかり乗っていること。これが最も大事なポイントです。

バランスディスクに乗って、アドレスを取ってみよう。ツマ先やカカト体重になっていると、バランスが取れず、クラブを真っすぐ引けない

大本:手順としては、身長を測るときのような、頭から足までが真っすぐに揃った姿勢から、上体を前に出さないように腰を落とします。ここから自分のパターの長さに合わせて前傾します。これで前後の重心バランスが取れたアドレスになります。バランスディスクの上で構えるのも土踏まず重心の練習になります。

また、左右の重心バランスも大事です。

極端に左や右に体重が偏ったアドレスも、ストロークが不安定になりやすい。左右50:50なら、頭がセンターで安定する

大本:左や右に体重が偏ったアドレスでは、安定したストロークは望めません。重心のバランスは前後左右ともに50:50に整える。重心バランスが揃うと、余計な動きがなくなり、自分にとって最も心地良く、再現性の高いストロークができるようになります。

もうひとつ、アドレスで重要なポイントは腕の形です。

腕の関節は肩、ヒジ、手首の順番に動く性質がある。ヒジが伸びると、肩と手首が可動しやすくなるが、曲げた状態ならロックされる

大本:正面から見たときに、両腕を伸ばして三角形に構える人もいれば、両ヒジを曲げて五角形に構える人もいます。基本的には自分が打ちやすい形で良いのですが、私は五角形で構えるストロークを推奨しています。
その理由はヒジを伸ばして固定すると、関節の構造上、肩と手首が余計な動きをしやすくなるからです。その点、ヒジを曲げた五角形の構えは、手首の動きが固定されるため、ストロークの再現性が高くなるのです。

インパクトを意識しすぎて体が硬直し、良いストロークができない。まずはパターでインパクトを意識しない練習をしよう

◆チェックポイント

頭から足まで直線を意識して構えに入る

アドレスに入る前に頭、肩、腰、ヒザを真っすぐ揃えて直立。この姿勢を作ってからアドレスに入ると、バランス良く立つことができる

◆教えてくれたのは…

大本研太郎コーチ おおもと・けんたろう/74年生まれ、宮城県出身。12年にパターレッスン専用スタジオ「パットラボ」、13年に「GPC恵比寿」を開設。アマチュアからプロまで厚い信頼を得ている

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香妻琴乃プロ こうづま・ことの/92年生まれ、鹿児島県出身。18年のマンシングウェアレディース東海クラシックでツアー初優勝

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ALBAドライバー・アイアン・アプローチぜんぶ女子プロに教わろう! 2020年版掲載 編集/島村涼 撮影/相田克己 岩本芳弘 上山敬太 河橋将史 佐々木啓 鈴木祥 福田文平 富士渓和春 村上航 山上忠 米山聡明

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