ツアー観戦しに行くと、ギャラリーの入場するゲートで一枚の紙を受け取ることができます。「ペアリング表（組み合わせ表）」と言われるもので、その日に誰が何時にどの組でラウンドするかが書かれています。観戦をする上でとても有用なものですが、選手だけでなく関係者にとっても非常に大切なものなのです。
二日後に大会初日を控えた練習日、昼頃になると初日の組み合わせ、つまりペアリングが決まります。できあがったペアリング表は、すぐに印刷されて会場のクラブハウス内で関係者に配布されます。ホームページ上にもUPされ、誰でも確認できるようになっています。
ペアリングはどのように決まっているの？
4日間競技の予選は、午前と午後のスタートに分かれていることが多く、初日と二日目は午前午後が入れ替わるだけというパターンがほとんどです。ペアリングが成績順になるのは、4日間競技であれば決勝から、3日間競技であれば２日目からとなっています（天候などによって、変更されることもあります）。
初日のペアリングは、前年度優勝者やシード選手、その大会のスポンサーと契約しているプロといった選手が真ん中の良い時間を埋め、QTの選手がトップや最終組といった感じで組まれることがほとんどです。試合が始まり、成績順にペアリングが組み直される場合は、全プレーヤーがラウンド終了後のアテストを終えた後に、それまでの成績順（同スコアの時は先にアテストを終えた順）で組が決まります。全組がホールアウトした後に発表されるため、朝早いスタートですでにホテルに戻ってしまっている選手は、協会のホームページで翌日のスタート時間を確認することになります。
ちなみに、まだスマホが無いような時代には、宿泊先にFAXしてもらうなどして次の日のスタート時間を確認していました。いつも多くの選手が宿泊するホテルでは、届けられたペアリング表をコピーしてフロントに置いておいてくれたりもしました。大会の速報本部では電話での問い合わせも受け付けていて、学生アルバイトとして速報本部の仕事をしていた私も、何時のスタートかを確認する電話を何件も受けたことを憶えています。
ペアリングを確認したら…選手の行動はこう変わる
選手にとっては「誰とまわるか」も大切ですが、「何時にスタートするか」が非常に重要。それによって、どんな行動パターンをとるかが大きく変わってくるからです。
例えば、8時のスタートの場合：7時前から練習開始←6時30分頃からストレッチ←6時にはクラブハウスレストランで朝食開始←5時半ホテル出発←4時半起床
といったように、朝の予定をスタートに合わせて決めていくからです。朝の準備は選手それぞれにルーティーンのようなものがあり、日によって大きく変えるということはあまりありません。
起床時間に合わせて就寝時間も変えるため、夕食の時間もスタート時間によって変わってきます。午前組と午後組では起床時間が全く違ってしまうため、練習ラウンドを一緒にするような選手同士でも、試合が始まれば別行動ということも珍しいことではありません。
スタート時間によって、こんなことにも影響が！
スタート時間によって左右されるのは、スタート前の行動ばかりではありません。最終日であれば、帰りの飛行機の予約もスタート時間によって変わって来ます。スタート時間からおおよそ4時間半でラウンドを終え、荷物の片づけと飛行場までの移動、レンタカーの返却といった諸々の事を考慮した上で、飛行機の予約をします。
トップスタートのおおよそのスタート時間は前もって知らされているので、成績を見て自分が何時ごろのスタートになるかといった予想を立てることもできますが、アウトとイン両方からの2ウェイスタートか、アウトからのみの1ウェイスタートかがわからない場合は、それによって全く時間が変わってしまうので、最終日のペアリング発表をスマホ片手に今か今かと待っている関係者も少なくありません。
成績順で決まるペアリングですが、同スコアの場合はアテストを早く終えた順で翌日の組み合わせが決まります。同じ組でラウンドする他の選手の情報も大切で、中にはプレーが遅いと有名な選手と一緒の組になってしまいそうな場合など、次の日のペアリングを考えながら提出するタイミングを見計らうなんてこともあるようです。
◆おだみなプロフィール
おだみな／元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。
