中途半端な距離を攻略するにはフルショット以外に「3つの選択肢」を持ちましょう【北田瑠衣の“女性専用“ショートゲーム】

ショートゲームでは、フルショットできない中途半端な距離が残ることも多いですよね。どう打てばいいのか迷う状況ですが、北田瑠衣プロは、「フルショットから距離を落とす3つの方法を知っておくと安心」と教えてくれました。今回はウェッジでの距離の打ち分け方について解説していきます。

北田瑠衣プロ

バンカーは“左ヒザを正面に向ける”で脱出できます【北田瑠衣の“女性専用“ショートゲーム】

◆ハーフスイングではセットアップを変える

ショートゲームの難しさは、1本のウェッジでさまざまな距離を打ち分ける必要があることです。フルショットの距離ばかりが残ってくれればいいですが、ラウンドしていれば、中途半端で打ちにくい距離が残ることも少なくありません。アマチュアの方を見ていると、フルショットは気持ちよく振り切れても、中途半端な距離になった途端、ぎこちないスイングで、インパクトが緩んだりするケースが多くあります。

こういった中途半端な距離に対処するには、まずフルショット以外に3つの選択肢を持つのがおすすめです。3つでは少ないように感じるかもしれませんが、コースのグリーンは基本的に奥行きが30ヤードほどありますので、それほど細かく距離を打ち分けなくても、十分にグリーンオンできます。3つ程度に抑えておいた方が、ショットの成功率が上がりますし、マネジメントもシンプルになって、迷わずに済むのです。

まず1つ目の方法は、グリップを短く持つことです。たったこれだけでも、通常のフルショットから5ヤードほど飛距離を落とすことができます。絶対にグリーンオーバーさせたくない状況での距離調整におすすめです。

2つ目は振り幅を少し小さくする「ハーフスイング」です。手元が肩の高さまで上がり、シャフトが地面と垂直になるくらいの振り幅をイメージしてください。振り幅が小さくなる分、フルショットよりもヘッドスピードが遅くなりますので、飛距離を抑えることが可能になります。10ヤードほど、飛距離を落とすことが可能になりますので、これだけでかなり距離を打ち分ける幅が広がっているはずです。

この「グリップを短く持つ」と「ハーフスイング」を同じに行うのが3つ目の方法になります。2つの方法で飛距離を落とすので、フルショットよりも15ヤードほど、飛距離を落とすことが可能になります。

ここまで紹介した3つの方法があれば、フルショットから-5ヤード、-10ヤード、-15ヤードの距離を打ち分けることができるようになります。これだけでしっかりグリーンを捉えられるようになりますので、ぜひ覚えてみてください。

通常のグリップよりも指3本ほど短く握るのが、距離を打ち分ける1つ目の方法。人によって差はありますが、5ヤードほど、飛距離を落とせます

フルショットよりも小さい、手元が肩の高さまで上がるハーフショットを覚えておくと、攻めの幅が格段に広がります

◆振り幅は手先ではなく、セットアップで小さくする

「ハーフスイング」をする際には、いくつかの注意点があります。それは手先で調整しようとしないこと。前述したようにインパクトの緩みは、距離を打ち分ける際に絶対に避けたいことですが、手先で振り幅を調整すると、しっかり振れずに、合わせる動きが入りやすくなるので注意が必要です。

まず、フルショットよりも少しスタンス幅を狭くして、ボールは半個分ほど右足寄りにセットします。そして、重心を下げるイメージで、前傾を少しだけ深く取りましょう。フルショットよりもセットアップで振りにくい状態を作ることで、同じ感覚でしっかり振っても自然に振り幅が小さくなってくれます。

また、ハーフスイングでは、ダウンスイングで右手首がほどけて、すくい打ちになる人も多いです。手前にダフッたり、トップしたりとさまざまなミスが出る可能性がありますので、できる限り手首を折った状態をキープしながら振っていくことが大切になります。

ポイントは、グリップをギュッとしっかり握ることです。よくグリップはソフトに握った方がいいというレッスンを耳にするかもしれませんが、これはドライバーなど、長いクラブの話になります。ショートゲームで使うウェッジは重く、その分、ダウンで重さに負けて手首が解けやすくなりますので、そうならないようにグリップをギュッと握る必要がありますのです。MAXの強さを10とするなら、9.5くらいまで強く握ってみてください。インパクトが安定して方向性が良くなりますし、正確な距離の打ち分けもしやすくなりますよ。

ハーフスイングを覚えると、攻めの幅が格段に広がります。ショートゲームだけでなく、短い番手のアイアンでも応用できる技術ですので、ぜひ練習して身につけていただきたいです。

フルショットよりもスタンス幅を狭くし、ボールは右足寄りにセット。これだけで振り幅の小さい「ハーフスイング」がしやすくなります

ダウンスイングで手首がほどけると、すくい打ちになってしまいます

できる限り手首が折れた状態をキープして打つことで、飛距離と方向性が整います

グリップを強くギュッと握ると手首がほどけにくくなるので、ぜひ試してみてください

◆北田瑠衣プロ/プロフィール

きただ・るい/1981年生まれ、福岡県出身。身長160cm。国内女子ツアー6勝の実績を持ち、2004年には賞金ランキング3位に。2005年には宮里藍プロと組んで出場した女子国別対抗戦「第1回ワールカップ」で優勝を果たし、初代女王に輝いた。美しいスイングから繰り出される正確無比なショットと堅実なショートゲームが持ち味

◆撮影/村上悦子 取材、文/田辺直喜 取材協力/南総カントリークラブ

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