ここ数年、ものすごい勢いでレベルが上がっている国内女子ツアー。それを示すのが、ツアー初優勝の人数です。過去3年間でなんと26人もいました。メルセデスランキング上位陣との優勝争いを制した新しい力が、国内女子ツアーを盛り上げている要因だといえるでしょう。
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◆初優勝の勢いに乗って複数回優勝も
88年のツアー制度施行後の37年間で、ツアー初優勝を飾った人数は215人に上ります。年平均5.81人ですが、24年は臼井麗香プロ、阿部未悠プロ、竹田麗央プロ、天本ハルカプロ、イ・ヒョソンプロ(優勝当時はアマチュア)、桑木志帆プロ、安田祐香プロ、佐藤心結プロの8人と、平均よりも多い人数になっています。実は、この傾向は24年だけでなく、22年、23年はともに9人の初優勝者を輩出しています。つまり、過去3年間で26人もの初優勝者が誕生しているわけです。
1シーズンでの最多人数は、黄金世代旋風が巻き起こった19年の10人(うち黄金世代は5人)ですが、その19年を含めた前後3年間の記録でも26人には及びません。
ここ数年、平均ストロークの数字が上がり、レベルが高くなっている国内女子ツアーで優勝することは並大抵の難易度ではないはずです。にもかかわらず、初優勝者の人数が減らないのは、それだけポテンシャルの高い選手が多いからでしょう。実際、24年の初優勝者から竹田プロのように、その後7つの勝ち星を重ねて年間女王に輝いた選手もいれば、桑木プロのように、JLPGAツアー選手権リコーカップで国内メジャーを制するまで成長した選手もいます。1つの優勝によって、潜在能力が引き出されたと思われます。
この流れはやはり24年だけでなく、23年は岩井明愛プロ、神谷そらプロ、櫻井心那プロ、菅沼菜々プロ、22年は西郷真央プロ、岩井千怜プロ、川﨑春花プロが、同一シーズンに複数回優勝を飾っています。
◆春と夏に多い初優勝者
初優勝者を最も多く輩出している月は4月(35人)で、その後は7月(29人)、3月(27人)、8月(27人)と続きます。逆に少ないのは、10月(14人)、11月(15人)でした。春と夏に初優勝者が多いようですが、春はベテラン勢がまだ本来の実力を出し切っていないこともあるでしょう。夏は、暑さの影響もあるのか、ベテラン勢よりも若手が優位に感じます。
逆に、秋になるとシーズン終了間際となるので、ベテラン勢がランキング上位に入ろうとして、さらにギアを上げてくるからだと思われます。また、シード権を狙う選手も必死で戦うので、未勝利の選手が優勝争いに加わることは一層難しくなるのでしょう。
初優勝者が多いということは、それだけツアーが活性化されることにもつながります。「あのプロが優勝できるなら自分も」と、同学年の選手が頑張ったり、「若い選手には負けたくない」と、ベテラン選手の奮起も促します。ここ数年、女子ツアーでは激しい戦いが数多く繰り広げられていますが、その要因は初優勝者の人数が多いことにあるからではないでしょうか。
写真/Getty Images