2年連続年間女王の山下美夢有プロは、部門別記録も更新! どこまでツアー通算優勝回数を伸ばせる?【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

国内女子ツアー最終戦JLPGAツアー選手権リコーカップでは、山下美夢有プロが今季ツアー5勝目を飾ると同時に、2年連続年間女王に輝きました。実に15、16年のイボミプロ以来、実に7年ぶりの複数年連続女王の誕生でした。特筆すべきは、平均ストロークが2年連続60台だったことです。しかも、今季は69.4322で史上最少記録というのだから、ホント恐れ入りますよね。

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◆ほとんどの部門別記録で2位以内

2年連続メルセデスランキング1位というだけでもすごいと思いますが、今年は部門別の記録でも1位を取りまくった山下美夢有プロ。せっかくなのでざっと並べてみましょう。

まずは、年間獲得賞金ですが、2億1355万42157円と2年連続2億円超えでした。2億円を超えたのは、15年のイボミプロが初めてで、20-21年の稲見萌寧プロが2人目、昨年の山下プロが3人目でしたので、2年連続はもちろん史上初です。

続いて平均ストローク69.4322。これも昨年に続いての60台ですが、2年連続60台は史上初、しかも史上最少平均ストロークも達成しました。ちなみに、山下プロにこの偉業達成についてどう思うか聞いてみたところ、「特に気にしていませんでした」のひと言のみ。無欲だったからこそ、達成できた記録なのかもしれません。

さらに、年間トップテン回数20回平均パット数(パーオンホール)1.7256パーセーブ率90.0585パーセント平均バーディ数4.3828個フェアウェイキープ率79.0841パーセントダブルボギー率0.4785パーセントパーブレーク率24.5082パーセント60台のラウンド数52回と、すべて1位でした。驚くべきは、ボールストライキング10ポイントリカバリー率69.3920パーセントバウンスバック率24.1573パーセントバーディ数458個4部門で2位だったことです。結局、ほとんどの部門で上位に入っているからこそ、年間5勝を挙げ、メルセデスランキング1位の座を獲得できたといえますね。

◆生涯獲得賞金ランキングでは30位に浮上

そんな山下プロが部門別記録の中で最も気にしていたのは、意外にも3パット率でした。今季の数字は2.2860パーセント(8位)で、昨年の2.2119パーセント(5位)よりも落ちています。とはいえ、1881ホール、104.5ラウンドも回りながら、3パット以上は43回しかなかったわけですからね。それほど気にすることもないように思えますが、山下プロ自身は「今年は3パットが多かった」と振り返っていました。そういうこだわりがなければ、トップまでたどり着けないのでしょう。

気になるのは、今後の山下プロですが、海外メジャーやオリンピックには興味があるようですが、今のところ海外ツアーに挑戦するとは語っていません。国内ツアーを主戦場にするのであれば、目指すは通算記録でしょう。現在、生涯獲得賞金ランキングでは、5億5313万8396円で30位につけています。ただ、上位30人の顔ぶれを見ると、山下プロの出場試合数114は圧倒的に少ない数字。29位稲見プロの146試合、25位小祝さくらプロの207試合が目につく程度です。1位の不動裕理プロは13億7029万2382円を獲得していますが、出場試合数は483と山下プロの4倍以上でした。ひと昔前と現在とでは年間の賞金額がそもそも異なるだけに、比較するのもどうかと思うかもしれませんが、単純に考えて、不動プロの記録を抜くのに、それほど長い時間はかからないでしょう。

むしろ、現在11回を数えるツアー優勝の数をどこまで伸ばすことができるかに注目したいですね。通算最多勝利数は涂阿玉プロの70勝なので、あと59勝です。とてつもない数字に思えますが、11勝を挙げるまでにかかった試合数118(プロ・アマ合計)は歴代10位のスピードです。これは通算50勝を挙げた不動プロの130試合を上回るペースだけに、今後の活躍次第では涂プロの記録に近づくことは十分可能でしょう。

取材・文/山西英希

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