いよいよ、2024年シーズンの女子ゴルフツアーが開幕しました！ 例年通り、沖縄で開催された開幕戦「第37回ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」。優勝は、岩井千怜プロの18アンダー、2位の西郷真央プロは2打差の16アンダー。トーナメントレコードを大幅に更新する素晴らしい結果となりました。
大会初日と2日目は、生憎の雨模様。雨だからとゴルフを中止にするゴルファーも多いと思いますが、プロの大会ではグリーンに水が浮くようなよほどの状況でない限り、予定通り開催されます。そして、今回もそんな悪天候の中でさえ、たくさんのバーディが生まれました。
雨が降ると、飛距離が落ちるから普段より長い番手を持たなければならないし、芝は重いし、レインウェアは動きにくいし…。そんな状況はプロでも同じはずなのに、なぜそこまでスコアが悪くならないの？ そんな風に不思議に思う人もいるのではないでしょうか？ 実は、悪くなるどころか、逆にビッグスコアが出ることがプロの大会ではよくあるのです。その理由を解説していきたいと思います。
◆大会期間中のコースは難設定
トーナメントが開催されるコースでは、ラフやグリーンの設定を変えることで、一般営業時よりかなり難しい状況を作っています。
【深いラフ】
ラフは、あまり刈らずに長く伸ばします。足首まで見えないような深さにすることもあり、ショートアイアンでなければ出せないような状況にすることも。ラフが深ければ、ボールが沈んで打ちにくい状況になりがち。球とクラブフェイスの間に芝が挟まり、スピンが入りにくくなるため、距離の計算が難しくなります。
コースによっては、フェアウェイの幅を狭くし、ティショットの正確性を求めてくることもあります。
【硬くて速いグリーン】
グリーンは、芝を短く刈ることでボールがよく転がるようにします。一般的には、スティンプメーター（グリーンの速さを測る道具）による計測で、8フィートから9フィートぐらいに設定しているゴルフ場が多いのですが、プロの大会では11フィートから13フィートぐらいに設定されていることが多いです。通常より、かなり速いグリーンと言えます。
速くするだけでなく、転圧ローラーをかけることで硬くし、グリーンに止まりにくい状況にもしています。ボールが止まらないとなると、ランがどれくらい出るのか、傾斜のあるグリーンまたはその手前のどこにキャリーをさせれば良いかといったことを計算しなければならず、マネジメントが難しくなります。
グリーンの速さより、硬さの方が難しいと感じるプロの方が多いです。
◆雨上がりはビッグスコアのチャンス⁉
ダイキンオーキッドレディスでも、大会前の練習ラウンド中はお天気続きで、グリーンは硬くボールが止まりにくかったそうです。ところが、本番が始まった途端、初日・二日目共に雨。そのお陰で、グリーンが柔らかくなり、ボールが止まるようになりました。
雨を含んだ重いラフで苦労する選手はいても、フェアウェイキープさえできていれば関係ありません。グリーン上でボールが止まるということは、ピンを直接狙って打っても良いということ。雨による飛距離ダウンの計算はしても、キャリーさせる場所を考えなくて良いので、マネジメントは非常にシンプルになります。
もちろん、ずぶ濡れになってしまうような、集中力を削がれるような雨だったりすれば状況は違ってきます。実際に雨の中のプレーでは、雨の雫によるフライヤーや、ボールが滑るなど、色々と考慮しなければならないことが出てきます。その他にも、傘を差したり閉じたり、レインウェアが動きにくかったり、帽子から雫が垂れるのが気になったりと、普段にはないちょっとしたことが選手のプレーに影響を及ぼすことも少なくありません。
選手にとって一番良いのは、グリーンが柔らかくなり、かつ雨に煩わされない状況。つまり、一番のビッグスコアのチャンスは「雨上がり」です。ダイキンオーキッドレディスも、3日目と最終日はまさに雨上がりの最高のコンディション。ビッグスコアが生まれやすい状況だったと言えます。
それにしても、開催された琉球ゴルフ倶楽部での18アンダーは驚きのスコアでした。年々、選手たちのレベルがアップしていっているのは間違いありませんね。開幕戦も終わり、これから毎週開催されるトーナメントにワクワクが止まりません！
◆おだみなプロフィール
おだみな／元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。
