ナショナルチームのテクニカルコーチ・岩本砂織プロ直伝! ワンランク上を目指す女性ゴルファーの為のパッティング&アプローチ【4】距離感を身につけたいなら常に異なる距離を打つ

初心者からトップクラスまで幅広くアマチュアの指導を行う岩本砂織プロのショートゲームレッスン。第4回はパッティングの距離感がテーマです。

パッティングでは方向性と同様に距離感も大切な要素です。ラウンド機会の少ないアベレージゴルファーが身につけるのは大変ですが、岩本プロによれば、練習方法を工夫することでカバーできると言います。

そこで、今回は距離感を身につけるためのドリルを中心に紹介します。

バックナンバーもチェック!「岩本砂織プロ直伝! ワンランク上を目指すパッティング&アプローチ」

◆外したら何が原因なのかその場で考えてみよう!

今回、岩本プロが用意したのは、グリーン上に等間隔で記された白いマーク。カップに一番近いマークまで2フィート(※1フィート=30.48 cm)ありますが、それ以降は1フィート間隔です。マークは全部で9個あり、一番遠い距離は10フィートになります。

グリーン上に等間隔で記された白いマーク。カップに一番近いマークまで2フィート(※1フィート=30.48 cm)、それ以降は1フィート間隔 です。

岩本プロ「たいていの人は同じところから2、3球も打てば距離感を合わせることができます。しかし、本番では1球勝負なので、毎回違う距離からボールを打つ練習をお勧めします。たとえば最初に2フィートから打ったら、入る、入らないに関係なく、1フィートずつ距離を伸ばしていきましょう。10フィートまでいったら、また1フィートずつ距離を縮めます。これを何回か繰り返すことで、実践で効果の出る練習が出来ます」

スコアアップに直結させるために大切なのは、練習での成功体験です。コースで毎回違う距離感をコントロールするには、グリーン上で起きる状況を想定した練習をする事で、自信も高める事が出来ます。慣れてきたら1フィートを2フィート間隔などにして工夫してみて下さい。ちなみに、ストロークを確かめるなど技術的な練習を行なう場合は同じ距離を続けて打っても問題ありません。

それでは、早速読者モデルの吉澤早苗さんに実践してもらいましょう。2フィートを簡単に沈めましたが、3フィートはカップを外してしまった吉澤さん。ここで岩本プロからの質問です。

岩本プロ「今、2球目を外した理由が分かりますか?」

吉澤さん「フェースがカップを向いていなかったんだと思います」

岩本プロ「皆さん、自分のことを責めますが、そんな必要はありませんよ(笑)。外したのは、距離が少し伸びた分、ストロークを大きくしなければと思い込んでいませんでしたか?距離に応じてもちろん振り幅は変わりますが1フィートくらいの距離の違いで、突然振り幅を大きくすることはありません。この練習はその意識的にやってしまう動きを無くすためのものでもあります。インパクトでスピードを緩めず同じテンポで打つことに集中して下さい」

失敗することを恐れるよりも、失敗した理由を自分なりにフィードバックすることが大切だという岩本プロ。ミスの原因を理解することで、次の成功へのひらめきに変えるためです。

最初は2フィートの距離を打ちます

カップインに関係なく、距離を伸ばしていきます

10フィートまでいったら、今度はカップに近づきましょう。これを何回か繰り返します

◆カップを外すことが多くなったら、フェースの向きを確認!

何球かストロークしていた吉澤さんですが、徐々にカップの右へ外す回数が増えてきました。そんな吉澤さんを見て岩本プロから再び質問が……。

岩本プロ「ボールが右へ打ち出されるようになりましたが、何をチェックしたら修正できると思いますか?

吉澤さん「やっぱりフェースの向きでしょうか。ちょっとどこを向いているのか分からなくなってきました」

岩本プロ「素晴らしい、フィードバックです! 一度ボールの後ろから目標を見て、フェースの向きを確認したほうがいいですね」

そう言うと、岩本プロは前回使用したレーザーを放つ練習器具をパターのフェース面に装着。フェース面の向きを確認しました。

岩本プロ「フェースをどこに向けたらいいのか分かったら、一度足を閉じてみましょう。その状態でフェースを目標に合わせた後、スタンスを広げます。実はこの一連の動きが、ストロークを安定させるためのポイントです」

スタンスの向きに惑わされることがなくなり、フェースを正しく構えられるようになったからか、カップインの確率が上がった吉澤さん。あらためて構えの大切さを実感しました。

岩本プロ「何球連続で入るまで練習を続けるとか、5割以上の確率で入るようになったら止めるとか、自分なりの目標を持って練習すると、レベルが上がりやすいですね」

パッティングは単調な動きだけに、自分なりに長続きする方法を考えながら継続していきましょう。

読者モデル吉澤早苗さんの感想

吉澤さん「今までパッティングの距離感をつかむことが苦手でしたが、今回の練習をしたことによって、距離に合わせた打ち方をできるようになったと思います」

カップを外すことが多くなったら、フェースの向きを確認してみましょう

一度足を閉じた状態でフェースを目標に合わせてからスタンスを開き、ストロークするとカップインの確率が高まります

◆教えてくれたのは・・・

岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。

2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供。

◆撮影協力/ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO

最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現!  住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅4番出口横  TEL 045-264-8568

取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 読者モデル/吉澤早苗