教え魔ゴルファー対処法【もうマウントなんて取らせない!】

男性がゴルフに熱中しても世間の風は冷たくないけど、女性ゴルファーの場合はちょっと勝手が違う。やっかまれたり絡まれたり上から目線でこられたり。

でも、そういうのは相手をするだけ時間の無駄なので、自分が楽しいと思うものを自分なりのスタイルで徹底的に満喫するのが吉。耐え忍んだりせず、じゃんじゃん本性を出していきましょう!

ゴルフほどマウントを取りたがるひとが多いスポーツは他にありません。つまらん嫉妬やプライドの勝負に、女性ゴルファーが惑わされることなく超然と楽しむためにはどうすればいいのか? ゴルフ偏愛イラストレーター・コラムニストである私「リサオ」が、自分の経験からヒントのようなものが出てきたらいいなーと思いながらつらつらと書いていきたいと思います。

第1回:教え魔もんだい。

数あるスポーツの中でも断トツで「教え魔」が多いのがゴルフ界隈。他の競技にもアドバイスの押し売りをしてくるお節介野郎は存在するでしょう。けれど、ナンパ目的でもなく、知らない女性に声をかける文化はあまりないのではと思います。

ゴルフはどうでしょう、心当たりのある女性も多いのではないでしょうか。断言しますが、ナンパ目的でもないのに、やたらめったら女性に声をかけ「何かをアドバイスしようとしてくる」男性がいるのは「ゴルフだけ」です。私たち女性ゴルファーの一生懸命さが、彼らを刺激してしまうのでしょうか。庇護下に置きたい、上からものを言いたいという彼らのプリミティブな欲望を。

それに対し「余計なお世話だ、おとといきやがれ」と言ってしまうと、残念ながら角が立ちます。かといって、のらりくらりとかわすには、経験値とワザが必要です。では、どうすれば必要としていないアドバイスを封じることができるのでしょうか?

教え魔は無差別に、すべての女性ゴルファーを狙います。「余計なこと言ったら酷い目に遭わすぞ!」という過激なオーラをまとわない限り、誰でもターゲットになり得ます。「話しかけんな」オーラを出していても、ゴルフの調子が悪いとき、少し不安な表情になった瞬間を、彼らは見逃しません。今ならマウントとれる! というその一瞬の隙に、必ず一言ぶっ込んできます。

「オーバースイング直さないと」「顔が早く上がりすぎだよ」「もっとゆっくり振らないと」「手打ちだからなあ」「もっと振り切って」などなど。

見当違いの指摘でも、こちらが理論武装をしてなければ対抗するのは難しい。言われっぱなしはシャクだけど、マイナスの感情は次のミスショットを誘発するから自分が損しちゃう。

そういうとき、黙ってもらえる魔法の言葉は、

「コーチに習ったんです♡」「これ、コーチに言われてるドリルなんです♡」

です。語尾に♡がついてます。満面の笑みで言いましょう。キラキラ瞳を輝かせて、コーチと私の間には誰も入れさせないわ、って感じでお願いします。教え魔が戦闘態勢に入って「教えるぞ教えちゃうぞ」って雰囲気を出した瞬間に言いましょう。

このとき、バッサリ斬らないように気をつけるとなお良しです。「コーチに習ってるので(迷惑です)」って聞こえちゃうと、逆ギレされたり拗ねられたりであとあと面倒くさいこともありますからね。

「ごめんなさい。今はコーチに言われたことだけに集中しないと。いろいろ考えすぎるとこんがらがっちゃうので。ありがとうございます」みたいに、明るく謙遜してみるのも手です。

全然悪いと思ってなくても感謝してなくても、女優になって演じましょう。『損して得取れ』です。『肉を切らせて骨を断つ』です。目的は黙ってもらうこと。それだけを考えて対応しましょう。

◆親しいゴルフ仲間が教え魔だった場合

さて、多くの教え魔には『コーチ作戦』で対応できますが、問題は親しい相手。夫や恋人などのパートナー、親しい男友達には、コーチなどいないことがバレているので通用しません。

自分はゴルフを始めたとき、パートナーAと仲の良い男友達Bの2人に教わっていたので、それはもう大忙しでした。プロでもない両名それぞれに独自のスイング理論があったので、Aと練習してるときにBの打ち方をしたら「なんでそんなやり方してんだよ」って怒られて、逆もまた然り。

結局、AとBに合わせて器用に打ち方を変えるようになったけど、面倒だし疲れるし、上達も遅れるに違いないし…。で、どうしたかというと、誰にも相談せずスクールに入りました。で、スクールをやめた後も通ってるフリをしていました。

私の経験上、身近な教え魔に黙ってもらうには、プロに習うか習ってるように思わせるのが一番手っ取り早かったです。

パートナーとゴルフを楽しむ、といえば、私がよく練習場で見かけるベテラン夫婦はさすがです。練習場に一緒に来ても、離れた打席、なんなら1階と2階で打っているんですよね。その距離感に、歴史と叡知を感じます。お互いのスイングを見なければ、文句のつけようがないという、究極の方法です。

余談ですが。私が練習していた隣の打席で、すぐ目の前に落ちているボールをせっせと拾い始めているおじさまがいました。そのセコさに「ご苦労なこって」と眺めていたら、くるっと振り向いて「貴女に」と。なぜかそのボールたちを差し出され、面食らったことがありました。

なんだなんだ、指導か?教え魔か?と身構えましたが、それはどうやらボールを使ったナンパのようでした。ネタとして面白すぎるので、その御礼に、もらったボールの数に見合うだけお話をして帰った記憶。

ほんと、ゴルファーにはいろんなひとがいます。だから「教え魔」など、合わないひとと無理にゴルフをすることはありません。自分に合うゴルファーは星の数ほどいるので、安心してサヨナラして大丈夫です。

◆リサオ(大隈里砂)プロフィール

リサオ(大隈里砂)/似顔絵作家・イラストレーター・コラムニスト・フォトグラファー。2005年よりゴルフに目覚め、以来寝ても覚めてもゴルフのことばかりの遅咲きの狂い咲きゴルファー。ベストスコア76。コラム、写真、イラスト、翻訳等を手掛けるなど、ご意見番として各ゴルフメディアに引っ張りだこ。

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