ピッチエンドランはヒザの高さを変えずに打つとザックリしない!

現在ツアープロとして活躍中の林菜乃子プロ。今季はトップテン入りが6回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露しています。身長154センチと小柄な林プロですが、パーセーブ率は85・88%と高い数字を残しています。堅実なゴルフスタイルはまさにアベレージゴルファーのお手本といってもいいでしょう。そこで、スコアメイクに必要な12個のエッセンスを林プロに紹介してもらいます。

第11回はピッチエンドランについてです。

林菜乃子プロ

お悩みポイント→ボールがエッジから離れているときにピンに寄せることができない

お助けポイント→グリーンにボールを落としてから転がすイメージを持ってみましょう

アプローチで最初に考えるのは、ボールを転がして寄せられるかどうかです。極端にいえばパターで転がすのがベストなわけです。しかし、たいていはボールからグリーンエッジまでの間にラフがあるので、距離感をつかみづらくなります。それを防ぐには、ラフを飛び越えて直接グリーンにボールを落とし、その後は転がすというアプローチです。

ボールからエッジまでの距離が近ければ近いほど、ボールをグリーンに落とすのは簡単ですが、逆に遠いと難しくなります。例えば、ボールからエッジまでが5ヤード、エッジからピンまでが7ヤードあったとします。この場合、ピッチングウェッジで6ヤード先にボールを落とすと、10ヤード以上転がってピンを大きくオーバーします。

したがって、ボールからエッジまでの距離が遠いときは、ロフトの小さいクラブを使った転がしは適していません。とはいえ、サンドウェッジでピンをデッドに狙ってスピンをかけて止めるアプローチも難しいのでお勧めしません。この場合は、アプローチウェッジを使ったキャリーとランの割合が1対1になるピッチエンドランがお勧めです。

先ほどの例でいうと、ボールを6ヤード先に落とせば、ピンまで6ヤード転がってくれることになります。ランニングアプローチほどではありませんが、ボールをある程度転がせるので、ラインに乗りやすく、距離感のイメージも出せるのが特徴です。

打ち方は他のアプローチ同様に、左足ツマ先を少し開いてから左足をボール1個分下げます。あとは、体の回転でクラブを上げて下ろすだけです。12ヤードのアプローチなら、8時から4時までの振り幅でいいでしょう。

ピッチエンドランはヒザの高さを変えずに打つとザックリしない!(1)

ボールからエッジまでの距離が長いときは、アプローチウェッジでピッチエンドランがお勧め。キャリーとランの割合は1対1が目安。あとはグリーンの状況に応じて微調整しましょう

お悩みポイント→ボールの手前をザックリしてしまう

お助けポイント→右手首と左ヒザの角度をキープしたまま打ちましょう

ピッチエンドランだけに限りませんが、アプローチでボールの手前をザックリする人の共通点は右手首の角度が変わることにあります。アドレスでは、右手甲と右腕には多少の角度がついています。ダウンスイングからインパクトにかけて、右手首を手のひら側に折ると、この角度がなくなり、クラブヘッドがアドレスの位置よりも手前に下りてきます。

したがって、アドレスで構えたときと同じ右手首の角度をキープしていれば、ボールをクリーンにヒットできるので、ザックリすることもありません。

また、スイング中は左ヒザの角度にも気をつけましょう。左ヒザが伸び上がっても、ボールの手前にヘッドが下りやすいからです。

一般的に右手首の角度が緩んでしまう人は、左ヒザを伸ばさなければヘッドがボールに届かないので左ヒザを伸ばそうとすることが多く見られます。右手首と左ヒザの角度が変わることは連動していると考えましょう。右手首の角度と左ヒザの角度をキープする。これがアプローチを成功させるコツです。

転がしと比べてピッチエンドランは難しいアプローチなので、ピンに寄せる意識が強いとプレッシャーがかかり、ミスする確率も高くなります。とりあえずグリーンに乗ればOKだと思って打ちましょう。

ピッチエンドランはヒザの高さを変えずに打つとザックリしない!(2)

アドレスでの右手首の角度をスイング中に変えないようにキープするとザックリは防げます

ピッチエンドランはヒザの高さを変えずに打つとザックリしない!(3)

右手首と同時に左ヒザの角度もキープしておきましょう

◆教えてくれたのは…

林菜乃子プロ はやし なのこ/1997年生まれ。神奈川県出身。ユピテル所属。現在ツアープロとして活躍中。今季はトップテン入りが5回と初シード獲得に向け、成長著しい姿を披露。身長154センチと小柄だが、パーセーブ率は87・1%と高い数字を残す。

撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/太平洋クラブ御殿場コース、チームセリザワゴルフアカデミー

おすすめの関連記事