古閑美保コラム 「男子プロのゴルフメンタルは、女子プロより20歳若い!」

こんにちは、古閑美保です。私のゴルフに対する考えやゴルフ界に言いたいこと、女性ゴルファー向けの話など、歯に衣着せず、感じたことをお伝えしていきたいと思います。今回は「男子ツアーと女子ツアーの違い」について。今年の男子ツアーは、43歳の谷原秀人さんが選手会長に就任しました。40歳を過ぎても活躍できるのが男子ツアー。活躍する選手が20歳代中心の女子プロとの違いをお話したいと思います。

◆男子プロは40歳前後でゴルフが落ち着いてくる

今年の日本男子ツアー(JGTO)の選手会長に谷原秀人さんが選出されました。谷原さんとはジュニア時代に選ばれていたナショナルチームの頃からの知り合いで、よきお兄さん的な存在です。親しみを込めて“タニさん”と呼んでいます。

タニさんは昨年11月に43歳になりましたが、昨年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」、「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で2勝するなど、賞金ランキング4位とまだまだ元気いっぱいです。

一方、日本の女子で活躍する選手は、20代前半が中心です。30歳を過ぎると活躍するのが難しい世界です。日本の男子は40歳を過ぎても活躍できるのですが、その秘密は男性特有のメンタルが関係していると思います。

◆ジャンボさんの頃はやんちゃなゴルフが主流

男子プロは40歳前後になるとメンタル的に、ゴルフが落ち着いてくる印象があります。私は25、26歳頃から感じていましたが、特にそう思ったのが10年ぐらい前ですね。2012年に43歳の藤田寛之さんが「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で3連覇を達成して、賞金王を獲得。あまりボギーを打たずにすごくゴルフが落ち着いていて、計算されたというか、粘り強いというか何というか大人なゴルフに感じました。

タニさんも長年ゴルフをやってきて、ゴルフというものに向き合って変わっていったのだと思います。「JTカップ」の時はリードしていたのもありますが、絶対に外してはいけないところには打たないですし、無理にピンを狙わずグリーンに乗らなくてもいいから手前から攻めていました。そしてチャンスではバーディを取って後続を突き放します。これぞ大人の勝ち方ですよね。20代の若い子にはなかなかできないゴルフです。

その昔、ジャンボ(尾崎)さんが全盛期の時代は力でコースをねじ伏せていた印象があります。パーシモンの時代でも、ぶん曲げてもいいからとりあえず300ヤード飛ばして、グリーンに近づけてそこから何とかするみたいなゴルフだったと思います。やんちゃに感じますよね。次は何をするんだろうとか、ドキドキしますし、見ていて面白いと思います。

今は道具の進化もあってそこまで曲がらなくなってるので、小さなミスが命取りになったりします。やんちゃな人はハマればいい成績を残せますが、ハマらない時は結果がついてこない。落ち着いた人の方が安定していい成績が残せるように思います。

◆女子は体のメンタルも成長が早い

女子の場合、体の成長もメンタルの成長も男子より早いです。中学生ぐらいから大人になっているんです。だから15歳、16歳ぐらいで優勝したりプロの試合で活躍する選手もいます。女子のトップ選手の中にも荒っぽい、やんちゃなゴルフをする選手もいますが、全体的に見ると20代でも落ち着いたゴルフをする選手が多いです。大人同士の争いですから、気力、体力に勝る若い子の方が優利ですよね。

やっぱりゴルフは1日5時間ラウンドをして、それが4日間続いて勝負が決まります。それが1年間ツアーとなると、やっぱり忍耐力があってメンタル的に落ち着いている選手の方が安定していい成績を残す可能性が高い気がします。

◆男性の人間メンタルは一生子供だと思います

男子も20代から大人のゴルフを目指すかというと、そうはならないんですよね。みなさんも周りの男性を見たときに、いくつになっても「やんちゃだな」って思う方いませんか? 80歳でも中学生みたいにやんちゃな感じの人もいると思うんです。私はそれが男子だと思います。

ゴルフメンタルでいうと男子は女子より10歳、いや20歳若い気がします。女子の20歳と男子の40歳が同じぐらいじゃないかと。ただ、人間メンタルでいうと男は一生子供だと思います(笑)。私はすごい大人だなって思う男性と知り合ったことありませんから。

例外は海の向こう米ツアー。40歳ぐらいでも暴れん坊みたいにやんちゃなゴルフをする選手が少なくありません。だから規格外の選手が出てきたり、毎試合ハラハラ、ドキドキする試合展開が多いのだと思います。

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こが・みほ/1982年7月30日生まれ、熊本県出身。身長167センチ、2001年プロ転向。03年にヨネックスレディスでツアー初優勝を遂げるなど、年間2勝を挙げて賞金ランキング3位。08年には年間4勝を挙げて、賞金女王戴冠。29歳になった11年、シード権保持していたがツアー引退。ツアー通算12勝。21年からGMOインターネットグループのアンバサダーに就任

取材・文/小高拓

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