佐伯三貴が語る2022年の私【東北福祉大学コーチ、テレビ解説、JLPGAセッティング委員】

こんにちは。佐伯三貴です。今回は、2022年の私についてお話ししたいと思います。昨年は、私にとってものすごく視野の広がった1年でした。とても忙しかったのも確かですが、その分、様々なことにかかわることができたのです。

佐伯三貴プロ/Getty Images

【2021年の振り返り】東北福祉大学のコーチ就任!

母校(東北福祉大学)ゴルフ部の学生たちを教えることになったのは大きかったですね。阿部(靖彦)監督に声をかけていただいてコーチとして女子を見ていました。目標に掲げたのは女子ゴルフ部創設初の団体戦四冠。四冠というのは、春のリーグ戦、全国大学ゴルフ対抗戦、秋のリーグ戦、信夫杯争奪日本女子大学ゴルフ対抗戦の4つのタイトルのことです。「四冠、四冠」と学生たちのお尻を叩いていましたが、実際に達成するのは大変なこと。よく頑張ったと思います。

しかも、コロナ禍で、学生同士が寮の部屋を行き来するのも禁止という時期も乗り越えてのことです。学生たちそれぞれと話をしながらの1年間。一番しんどかったのは秋のリーグ戦でしょうか。2日目前半を終わって9打負けていたので「さすがに厳しいです」と連絡がありましたが、プレーする順番を大事にすることをアドバイスし、信じて待っていたら見事に逆転優勝してくれました。

団体戦というのは、本当に難しいものです。ただ、彼女たちにいつも言っているのは「常に選ばれる選手なんていない、状態次第で容赦なく選手は変える」ということでした。自分の力を過信することなく努力することを自然にしてくれたからこそ、結果に結びついたのでしょう。

月1回は私も顔を見せるようにしていますが、地元にいて常に学生たちを見てくれているコーチなしにはできないことでした。何か問題が起きればすぐに連絡をくれて、すぐに解決できる体制を整えてくれていたのです。学生たちの努力の成果には、心から祝福を送りたいと思います。

2022年には、4年生が2人抜けて1年生が1人入って14人になります。昨年のアジアパシフィック女子アマチュアで優勝した橋本美月選手も2年生になります。メジャーなどへの足掛かりとなるアジアパシフィックアマ優勝は、世界が変わってしまう大きな出来事です。正直「ちょっと早すぎたかな?」という気がしないでもありませんが、その分、人として学生としてちゃんと成長していきながら、アグレッシブなゴルフをしていって欲しいと思います。

ほかにも、プロの試合でローアマを取った選手や、地区アマで優勝した選手など、実力者はいますが、チームになるとまた戦い方は違います。四冠達成は本当にうれしいものでしたが、その分、今度は追われる立場になります。四冠にアグラをかくことなく、これまで通り切磋琢磨していかないと負けてしまいます。まずは学生一人一人と面談をしてみてじっくり話をしてから、技術面、精神面を指導するオフが送れればいいな、と思っています。

そうそう、年末には、私と松山英樹プロから学生に四冠のお祝いにプレゼントをしました。学生たちにはナイショで用意したので、喜んでくれました。今年もこんな風にお祝いができるよう、学生たちをサポートしていきたいですね。

【2021年の振り返り】テレビ解説に挑戦

テレビ解説の仕事も、昨年は多くさせていただきました。当初はとても不安だったのですが、少し慣れてきてやりがいも感じています。わかりやすい言い回しや表現、しゃべるスピードなどを勉強しているところでもあります。

選手の気持ち、見ている側の気持ちの両方を考えつつ、いいところをきちんと解説し、ミスならミスとはっきり言うように心がけています。例えば、画面を通して見ていると簡単そうに見えるけれども実は難しいショットの場合、何が難しいのかを見ている人にわかるように伝えるのは、解説者の大事な仕事です。結果はよくても、プロならミスだとわかる場合も同様です。ミスの場合、言葉を濁してしまう方も多いようですが、それでは解説にならないと思うからです。

幸い、周囲の方から「思ったことを言葉にしていてよかったよ」と言っていただくことも増えました。もっと勉強して皆さんにゴルフの面白さをさらに伝えられるようにしたいと考えています。

【2022年の新たな挑戦】 JLPGAのセッティング委員に!

新しく始めるのは、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のコースセッティング委員という仕事です。

ゴルフ場というのは、フェアウェーの幅や芝の刈り方によって驚くほど表情を変えるものです。コースセッティングというのは、ゴルフ場を試合にふさわしいように“アレンジ”して舞台を整える仕事です。ある程度、バーディー合戦にして盛り上げるのか、難しくして選手の技と忍耐を引き出すのか。セッティング次第で試合展開はまったく変わります。それを担当するのがコースセッティング委員というわけです。プレーヤーとしての経験を踏まえて、より選手の能力を引き出し、見ている人が面白いセッティングを考えるのは大変な仕事です。最初はステップアップツアーを担当するところから始まるのですが、選手たちがより技術を発揮できる舞台づくりに役に立てるようにしていきたいです。

色々と仕事が増えてきてバタバタしそうな2022年ですが、実は私はじっとしているのが苦手なタイプ。忙しいのは苦にならないので、今まで以上に頑張っていきたいと思います。このコラムでも折に触れてお話ししていきますので、どうぞお付き合いください。

取材・文/小川淳子 写真/Getty Images

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