佐伯三貴が教える【簡単、冬の“ながら”トレーニング】

皆さんこんにちは、佐伯三貴です。年末が近づき、いよいよ本格的な冬がやってきました。寒くてもキン!と澄んだ空気の中、ゴルフをするのも楽しいものですが「冬のゴルフはちょっと」という方もいらっしゃいますね。

今日はそんな方にうってつけの、暖かい室内でできる簡単なトレーニングをお届けします。もちろん、冬でも元気にコースに出る方も、やっておいて損はありません。気軽にトライしてください。

佐伯三貴プロ/Getty Images

◆“ながらトレーニング”で確実に継続しよう

継続の極意は“ながらトレーニング”にすることです。どんなに有効なトレーニングでも、続かなければ意味がありません。継続は力なり、という言葉の通り、簡単な動きであっても、毎日続けることで体は確実に変わってくるものです。

私も、試合に出ていた頃は、もちろんきちんとトレーニングを続けていました。プロゴルファーとして試合に出る以上、体を整えるのは当たり前。仕事の一環だったからです。けれども、試合を離れた今は違います。やらないならやらなくても、困りません。

アマチュアとしてゴルフを楽しんでいらっしゃるみなさんも同じですね。トレーニングをした方がいいのはわかっているけど、しなくても別に困らないし、誰にも怒られない笑。ストイックな人は自分に厳しくやっているのでしょうけれど、そうでなければ、よほどのモチベーションがなければ毎日トレーニングを続けるのはなかなか難しいものです。よ~くわかります。だからこそ“ながらトレ”なのです。

◆佐伯プロおすすめの“ながらトレーニング”は?

一番のおすすめは、バスタブにゆっくりと浸かって体が柔らかくなっているお風呂タイムでのながらトレーニングです。体が温まったところで両手を前に伸ばして握ったり、開いたり。いわゆるグ―パ―運動です。これには、様々な効果があります。まず、血管が拡張し、血流が改善されるので高血圧の予防になります。血流がよくなると副交感神経が活発になり、よく眠れるようになる。自律神経が整い、脳にも刺激を与えられます。お風呂で体は温まっていますが、お湯の中でやれば水圧で負荷もかかるので、ジワジワとですが握力を上げることもできます。それほどの効果はなくとも、維持はできます。一定以上の年齢の方には、これが大切です。握力低下による心臓疾患や脳卒中などのリスクも下げられるからです。いいことずくめですが簡単な動きですので、音楽を聴いたり、歌を歌ったり、DVDなどを見ながらでぜひ、習慣にしてください。

お風呂だけでなく、リビングルームでもテレビ画面などを見ながらの運動がおすすめです。横向きに寝そべって両足を上げる動き(サイドレッグリフト)は、腹斜筋(横っ腹部分の筋肉)を鍛えます。

座りっぱなしではなく、時々立って、スクワットも入れてみましょう。両足を肩幅程度に開き、ゆっくりとおしりを後ろに落としていく。もちろんひざを曲げるのですが、膝がつま先より前に出ないように気を付けてください。上げる時もできるだけゆっくりとした方が効果は上がります。少しきつくなりますが・・・。

もう一つ、私がよくやっているのは、マッサージ用の60㎝くらいの棒を使った、軸を意識しての反復素振り。鏡やガラス窓、オフになっているテレビやパソコンの画面など、自分の姿が映るものがあればそれを見ながらだと確認しやすいはずです。軸は絶対に動かさない気持ちで振ってみてください。こうすることで、体の中心から捻転する習慣がついて、スウェーする癖などが改善されるはずです。

適当な棒がなければ、ペットボトルでもタオルを丸めたものでも構いません。軸を意識して振るのが重要なのです。クラブよりはるかに軽いものでも、何回も降っていると汗をかくほどです。練習場でボールを打つことだけが練習ではありません。いいスイングを体に覚えこませるためには、ボールを打つよりこの反復素振りが効くことも多いのです。久しぶりにクラブを握って、体がスイングを思い出すまでに時間がかかるようなことが、この素振りを続けているとなくなります。

室内トレーニングのポイントは、とにかく何も準備をせずに簡単にできること。家具を動かしたり、ストレッチマット(ヨガマット)を敷いたり、器具をクローゼットから出してきたり、などという準備のアクションが1つでも入るだけで面倒になってしまうからです。部屋の隅に丸まったストレッチマットや、玄関に傘と一緒に立てっぱなしの素振り用クラブ、ホコリをかぶった腹筋マシンなど、身に覚えのある人はたくさんいるのではないでしょうか。

でも、ツアーで戦うプロのように仕事ではない限り、このめんどくささを乗り越えて続けられるのはよほどストイックな人だけです。そのハードルを乗り越えることを考えるよりも、面倒なく続けられる方法を選んで続けることをお勧めします。

室内トレーニングではありませんが、駅でエスカレーターではなく階段を使う、というのも習慣にすれば知らないうちに効果が出ます。体力はもちろん、下半身の大きな筋肉を鍛えることができる階段トレーニング。電車通勤の方なら毎日の行き帰り、乗り換えのたびにチャンスはあります。そうでない方も電車に乗るならぜひ、習慣にしてみましょう。

日頃から体を動かす習慣をつけることで、基礎代謝が上がれば寒さにも強くなります。それでも寒いのが苦手なら、春のゴルフを目指してコッソリ、体づくりをしてみませんか。

取材・文/小川淳子 写真/Getty Images

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