プロキャディってどんな仕事?【給与や資格は?プロキャディ協会って?】

プロゴルファーと同じようにツアーを転戦しながら、彼らの素晴らしいプレーを支えることを生業とするキャディ。彼らの職業を『プロキャディ』と呼びます。

プロゴルフトーナメントがオフシーズンとはいえ、見えないところで様々な動きがあるのがこの時期。来シーズンのトーナメントの予定が発表されるタイミングでもあるため、プロキャディにとってはとても大事な時期です。 開幕戦以降、誰のキャディをするのかが決まり始め、彼らの頭の中ではすでに来シーズンが開幕しているといっても良いかもしれません。

今回は、そんなプロキャディの知られざるお仕事や、プロキャディ業界を支援・リードする「 日本プロキャディ協会 」の役割についてご紹介していきたいと思います。

プロキャディのお仕事って?資格はいる?

『プロキャディ』。あまり聞き慣れない職業かもしれませんね。そのお仕事については、未だあまり認知されていません。

まず、プロキャディとは、ツアーを転戦するプロゴルファーのキャディのこと、もしくはそれで生計を立てている者のことを言います。

プロゴルファーとキャディ間で執り行われる契約については様々。年間を通してずっと同じ選手のキャディをする、という場合もありますが、一試合ごとに選手を変えるキャディもいます。書面を通しての契約というよりは、口約束に近い形のものが多く、個人事業主として働いているプロキャディがほとんどです。気になる給与に関しても色々な形があり、選手と一緒に行動して一日いくらという場合もあれば、コース以外は別行動で週いくらという場合もあります。賞金の何パーセントかをボーナスでもらえる場合がありますが、プロとキャディ間での契約によって違います。

「プロキャディになるのに資格は要るの?」と聞かれることがありますが、プロキャディになるための資格などはありません。しかし、15キロ以上もあるキャディバッグを担いで18ホールを歩いて回る体力や、プロにとって唯一の相談相手として、求められる知識と人間性が必要になる職業なので、おいそれとなれるものではないことは確か。

ところが、それを教えてくれるような組織や団体などはなく、かなりの体力・気力・人間力を要する仕事でもあるため、常になり手が少ないのが実情なのでです。

日本プロキャディ協会って?

実は、『プロキャディ』という職業が認知されたのはここ数年の話。単発のキャディとの差別化が図られず、年間を通してトーナメント会場に入場できるパスや駐車場が用意されないなど、不遇の時期が長かったのだと言います。

2019年10月、そんなプロキャディの状況を踏まえ、業界を支援・リードする新たな団体として『日本プロキャディ協会』が設立されました。

設立者の一人であり、代表理事を務める森本真祐さんは、プロキャディという仕事が、まだ「職業」として確立されていない頃からツアーで活躍していました。札幌学院大学ゴルフ部出身の森本さんは、桑原克典プロのキャディとして1996年よりツアー参戦し、その後、谷口徹プロキャディとして賞金王キャディにもなりました。マスターズにも2度参戦。今年も古江彩佳プロのキャディとして、優勝に貢献した超有名キャディです。

TOTO Japan Classicでの森本キャディと古江プロ(Getty Images)

2021年12月現在、協会に登録しているプロキャディは46名。協会が主体となってプロキャディの質の向上を目指した勉強会や、イベント等を開催することで、プロキャディという職業の認知度を高め、その労働環境の改善などにも努めています。選手の成績によって左右されがちな収入を支えるため、協会としてスポンサー企業を募るなどして、互助組織としてもその役割を期待されています。

トーナメントコースの重要な特徴を事前に調査し分析する力と、選手の求めることに対応できる几帳面さといった能力が求められる業務のため、未だ新たななり手が少ないのが実情の中、プロから求められるレベルのキャディを育てるための勉強会なども企画し、その育成にも力を入れる役割を担っています。

現在は、イベントや、テレビ番組へのプロキャディの派遣も行っていて、プロゴルファーとは違った視点でのゴルフへのアプローチの仕方を紹介しています。コースマネジメントももちろんプロキャディの仕事ですが、プロのメンタルコントロールもキャディの大事な仕事のひとつ。そういったことを中心としたレッスンなども、スイングを教えてもらうのとはまた違って面白いかもしれませんね。

今後は、ハウスキャディの方々に対しても、コースマネジメントのプロとしての講習会を予定するなど、ゴルフ界における可能性は膨らむばかりです。

「まずはゴルフを楽しんでもらい、上達してきたらキャディのコース戦略にも興味を持ってもらいたい」と語る森本さん。「プロキャディとゴルフ界に、新しい価値と創造を」を指針に、これからもその活動に力を入れていくそうです。もしもプロキャディという仕事に興味をもったら、来シーズンのトーナメントが始まる前に一度協会ホームページをのぞいてみては。新たな発見があるかもしれませんね。

◆おだみなプロフィール

おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。

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