佐伯三貴が占う【東京五輪のゆくえ】

こんにちは。佐伯三貴です。東京オリンピックの代表選手が決まりましたね。女子は最後まで熾烈な選考争いが繰り広げられましたが、最終的には畑岡奈紗さんと稲見萌寧さんが代表となりました。まさに好調の2人が選ばれたわけです。

畑岡奈紗プロ/Getty Images

全米女子オープンで笹生優花さんに敗れたとはいえ、プレーオフで2位となった畑岡さんの実力は、今更説明するまでもないでしょう。一方の稲見さんは、決定するまで口には出しませんでしたが、オリンピック代表争いにものすごい重圧を感じていたようです。2021年が始まってから14戦5勝と絶好調だったのが、突然、調子を落としていました。それでも、序盤戦の”貯金“が効いて、無事、代表入りを果たし、試合に出ながら最終調整をしています。

稲見萌寧プロ/Getty Images

激戦の末、代表になれなかった古江彩佳さん、渋野日向子さんも含めて、誰が代表になってもおかしくない、日本を代表するプレーヤーたちです。

東京オリンピックは、コロナ禍で1年、延期になりました。世界はコロナ禍からまだ抜け出してはいませんが、今年無観客にて開催することになったのはみなさんご存じの通りです。

このことが、代表選考にも大きな影響を及ぼしました。予定通り昨年夏の開催だったら、米ツアーで活躍する畑岡さんと、2019年全英女子オープン優勝の渋野さんでほぼ決まっていたでしょう。ツアー2勝目もまだだった稲見さんは、名前も上がらなかったかもしれません。

ですが大会が1年延期され、代表選考もそのままスライドしたことで、状況が大きく変わりました。112年ぶりにゴルフがオリンピック競技に返り咲いた5年前のリオ・デジャネイロ大会の代表は、大山志保さんと野村敏京さん。畑岡さんも、稲見さんも、今回が初めてのオリンピックになります。

オリンピックは、4年に1度(今回は5年間があきましたが)しか行われない、メジャーとはまた違う国際大会です。個人戦とは言え、国を背負って戦う、という部分が強くあります。

しかも、今回の舞台は東京。開催国の代表として、2人はモチベーションも上がるでしょうけれど、大きなプレッシャーもかかるはずです。

地の利もあまり生かせないのではないでしょうか。毎週、ツアーが行われる合間を縫ってのオリンピックで、しかもコロナ禍では、開催コース霞ヶ関CCの下見をする時間もあまりなかったに違いありません。自国開催とは言え、行ってみて初めてわかることも多いと思います。

さらに、コロナ禍で、ツアーが2020~2021年のロングシーズンとなっています。昨年ほどではないにせよ、移動や練習、トレーニングなどに制限がかかる中、選手たちはスケジューリングとモチベーションの維持に苦労しています。その中でも結果を出しているこの2人は、常日頃、1試合1試合、全ての集中し、ベストを尽くすことができているからでしょう。

世界中で多くのツアーが行われているゴルフでは、オリンピックにどう向き合うかは人それぞれです。私が現役でプレーしている頃だったら、と考えると、もちろん選ばれればいいな、とは思ったでしょう。けれども1年通してツアーがある中でのオリンピック出場は、非常に難しかったことでしょう。

他の競技も同じですが、毎週、試合がある中で4年に1度の競技に照準を合わせるのは、身体的にも精神的にも難しいからです。

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