佐伯三貴の女子ツアー展望【群雄割拠の戦国時代】

そのカギを握っているのが、今週行われるアース・モンダミンカップ。昨年、ツアーの幕を開けてくれた大会は、1年経って破格の総額が3億円というビッグプライズになって開催されます。

昨年も2億4000万円とツアー最高の賞金総額でしたが、今年はさらに増額。優勝賞金は5400万円と、これに勝つと3試合分くらい稼げるので、賞金レースの行方を大きく左右することになります。

どんどんシード選手の平均年齢が若くなる日本の女子ツアーですが、イマドキの選手たちは私たちの頃よりもずっとマジメにゴルフに取り組んでいます。ゴルフだけはプロですが、それ以外の部分はまだまだ子供でかわいいなぁ、という選手も少なくありません。本当にマジメにゴルフ漬けの選手が多いので、息抜きはどうしているのかと心配になってしまうこともありますね。

情報量も、以前とはケタ違いです。国内はもちろん、海外の情報もネットですぐに手に入ります。トッププロ自身が発信している情報もあり、これに不自由することはありません。ただ、情報があふれているからこそ、混乱する場合も珍しくない。結局、たくさんの情報から自分の求める「正解」を探り出し、ブレずに信じてやり通せる人が強いということになります。

笹生さんがいい例です。ローリー・マキロイのスイングが大好きでその“完コピ(完全コピー)”を目指したと言う話は、全米女子オープンをテレビ観戦していた方ならご存じだと思います。米国のテレビ局が彼女とマキロイのスイングを並べて映していたシーンも何度も流れていました。確かにそっくり、よくぞここまで、というほど似ていました。 

〈画像〉笹生優花プロ

理想とする選手のスイングをマネするのは上達への近道ですが、マキロイのスイングは普通の女性がマネできるものではありません。強い体幹、筋肉があって初めてできるものです。子供の頃からそれを求めてトレーニングを続け、練習を続けた笹生さんだからこそできたことでしょう。女子の枠に収まらない彼女の強さのヒミツがここにあります。

日本の試合は全部行われているのですが、観客が入れない試合もまだ多いのが残念なところです。このコラムに出てきた選手や、試合に興味を持ったら、まずはネットやテレビで。見られる試合があったらぜひ、現地に足を運んでみてください。ゴルフの楽しみ方が広がりますよ。

取材・文/小川淳子 写真/Getty Images

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